研究課題/領域番号 |
19K05715
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福田 勉 長崎大学, 環境保全センター, 准教授 (80295097)
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研究分担者 |
西谷 直之 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (10286867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ラメラリン / アザラメラリン / A環部改変 / F環部改変 / EGFRキナーゼ阻害剤 (EGFR-TKI) |
研究実績の概要 |
上皮成長因子受容体 (EGFR) のキナーゼドメインのC797S変異による、非小細胞肺がんの薬剤耐性化に関する問題が顕在化しつつある。研究代表者らは、海洋天然物ラメラリンNのA環部を改変したLam 14が、C797S変異EGFRを持つ非小細胞肺がんに有効なことを見出した。一方でラメラリンNのF環部が、キナーゼ阻害活性及び阻害選択性に重要な役割を持つことも既に明らかにしている。両方の知見を基に、本研究ではラメラリンNのA環部及びF環部を最適化することで、C797S変異EGFRに更に有効な阻害剤の創製を目指す。今年度は下記の研究成果を得ることができた。 (1) F環部を改変したアザラメラリンN誘導体合成において、従来のアザラメラリン合成法では、効率の面から問題があった。そこで、我々が以前に開発したラメラリン合成法を応用して新たな合成法を確立し、実際にアザラメラリンDおよびN (F環部13位および14位置換基の位置異性体) の合成を達成した (Heterocycles 2021, in press)。 (2) 海洋天然物ラメラリンNのB環部ラクトン環をラクタム環に置換し、A環部20位もしくは21位に3-(ジメチルアミノ)プロポキシ基を導入したアザラメラリン誘導体が、ラメラリンと比較して高いEGFRキナーゼ阻害活性を持ち、さらにその要因がラクタム環NHとCys793との付加的な水素結合にあることを見いだした。またアザラメラリン類はEGFR変異を持たないがん細胞株 (A549) よりT790M/L858R変異を持つがん細胞株 (NCI-H1975) を選択的に増殖抑制することも明らかとなった (Bioorg. Med. Chem. 2021, 34, 116039)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、F環部を改変したアザラメラリン誘導体の合成手法の確立するとともに、ラメラリン誘導体より強力なEGFR阻害活性を持つアザラメラリン類の作用機序について明らかにできた。今後、上記の誘導体について構造展開を図ることが可能である。従って研究は、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次のような研究を実施する予定にしている。 (1) F環部を改変した20位にアミノプロピル基を持つラメラリンおよびアザラメラリン誘導体の構造展開を行う。 (2) JFCR39パネルアッセイを中心に分子プロファイリングを実施する。 (3) EGFRキナーゼ阻害活性評価を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)交付された助成金を真摯に使用していった結果、当初の予定よりも物品費、旅費、人件費・謝金、その他の費用をそれぞれ節約することが出来たため。 (使用計画)当初予定していた計画に加え、キナーゼ阻害活性評価の外部委託費、化合物合成に必要となる薬品類の購入にあてる。
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