昨年度までに研究代表者はC末、N末、チロシンの水酸基が保護された鎖状誘導体が2.0 μg/mLの濃度でAMPB のMIC値を1.0 μg/mLから0.031 μg/mLまで低下させAMPB活性を32倍増強し、天然物であるネクトリアチドより高活性を示すことを見出した。2021年度は構造活性相関の結果を参考にプローブ分子の設計を行なった。ネクトリアチドの鎖状誘導体をリード化合物に取り上げて、プローブ分子としてビオチン体の合成を検討した。確立した液相合成法を応用して、C末ならびN末の保護基を選択的に除去する方法を見出した。続いてC末にはアミンPEGビオチンを利用して、N末にはNヒドロキシスクシイミドPEGビオチンを利用して、C末ならびN末にビオチンを導入したプローブ分子をそれぞれ合成した。 研究協力者はCLSI M27-A3法およびM-38-A2法 に準じて、微量液体希釈法により酵母Candida albicans ATCC90029株に対するMICを測定し、またAMPB活性増強作用についてはAMPBと化合物を併用した時の真菌 に対するMIC値を測定した。両プローブ分子はネクトリアチドと同程度の活性を示した。 研究協力者はCandida albicansよりタンパク質抽出液を調整してSDS-PAGEを行い、結合タンパク質を銀染色で確認した。その結果、コントロールと比べて特徴的なバンドが検出された。
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