研究課題
微生物の生産する有用なペプチド系天然物の多くは、非リボソームペプチド合成酵素により生合成される。非リボソームペプチド合成酵素の利用するアミノ酸基 質の違いにより、ペプチド系天然物の構造的多様性が生み出される。また、アミノ酸修飾酵素の一つである異性化酵素が、アミノ酸の L/D 変換を触媒すること で、ペプチド骨格の多様性を飛躍的に拡げている。異性化酵素は、キャリアータンパク質に担持されたL-アミノ酸をD-アミノ酸へ異性化する。そこで、T domain担持型共有結合性異性化酵素阻害剤を創製することで、アミノ酸異性化機構を明らかにすることを目的とする。異性化酵素の異性化機構は、生化学的解析により、H753 および Y976 の関与する “two-base mechanism” が 、一方、E domainのX線結 晶構造解析より、H743 および E882 の関与する “酸塩基触媒機構” が提案されている。そこで本研究では、 共有結合型異性化酵素阻害剤を設計および創製し、異性化酵素触媒機構およびキャリアータンパク質認識機構を明らかにすることを目的とする。昨年度は、共有結合型異性化酵素阻害剤の設計および合成を完了した。本年度は9種類の異性化酵素活性部位変異体を大腸菌組み換えタンパク質として調製した。また、昨年度合成した共有結合型異性化酵素阻害剤を組み合わせた異性化酵素の機能解析を実施した。
2: おおむね順調に進展している
9種類の異性化酵素活性部位変異体を大腸菌組み換えタンパク質として調製し、共有結合型異性化酵素阻害剤を組み合わせた異性化反応触媒機構を解析している途中であり、おおむね2年目の目標を達成しているため。
9種類の異性化酵素活性部位変異体と共有結合型異性化酵素阻害剤を組み合わせた異性化反応触媒機構の解明および構造解析研究へ展開する。
新型コロナ感染症の影響による、大学への入構禁止等の措置により、使用計画に若干の変更が生じた。また、生じた次年度使用額は物品費として使用する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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