研究成果の概要 |
本研究は, キャリアータンパク質担持型共有結合性異性化酵素阻害剤 (クロスリンク剤) を設計および創製し, 異性化酵素の触媒機構およびキャリアータンパク質認識機構を明らかにすることを目的とした. 本研究では, クロスリンク剤の創製に成功した. また, チロシジン合成酵素TycAをモデルとして、異性化酵素の活性部位変異体を作製した. さらに, 本クロスリンク剤を利用することでGlu882がクロスリンク剤との反応部位であることが明らかとなった. このことから, Glu882が異性化反応においてアミノ酸のα位水素を引き抜く塩基触媒として作用していることが示唆された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開発したクロスリンク剤を利用することで, 1) 異性化酵素の触媒残基を捕捉することによる異性化機構の解明, 2) 異性化反応の瞬間を捕捉することにより, 異性化酵素とキャリアータンパク質相互作用の生化学的解析および異性化酵素とキャリアータンパク質複合体構造の結晶構造を解くこと, が可能となりペプチド系天然物の多様性の創出に関わる酵素の機能や構造が分子レベルで明らかになる. それら情報を基に合理的に生合成システムをデザインすることにより, 天然にはないペプチド系化合物の創製など応用に結びつけることができる.
|