がんは,様々な遺伝子変異の蓄積によって解糖系やグルタミン代謝などのエネルギー代謝経路を変化させて生存・増殖を有利にする.したがって,がんの代謝を阻害する化合物は,がん特有の代謝経路を利用した抗がん剤の候補として期待される.本研究ではグルタミン代謝補償試験を用い,グルタミンの代謝に影響を与えうる化合物を放線菌の培養液から探索することとした.グルタミン代謝補償試験はグルタミンまたはジメチルケトグルタル酸 (DMKG) を含む培地で培養した細胞に対する薬剤感受性を評価するものである.グルタミンはケトグルタル酸 (KG) に代謝されクエン酸回路に導入される.DMKG は KG に代謝されグルタミン代謝を補償する.したがって,前者の培地選択的に毒性を示す化合物はグルタミン代謝に影響を及ぼすことが期待される.本年度は,グルタミン代謝補償試験を指標に放線菌培養液ライブラリから探索を行い有望な培養液を得ることができた.
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