研究課題
基盤研究(C)
本研究では,精神疾患や認知症の克服に資するため、神経回路研究用の高感度な膜電位感受性蛍光色素を開発することを目的とした。その結果、(a)新たな電位応答試験法を見出すことができた。(b)ジメチルアニリンとキノリンを三重結合で繋いだ分子が、電位検出部位として最も適していると考えられた。(c)この分子を電位検出部位とし、Bodipyを蛍光発色団とする色素を合成し、電位応答性を確認できた。(d)ホウ素官能基を持つ新規なリンカー分子を開発した。
ケミカルバイオロジー
①高感度な膜電位感受性蛍光色素の新たな分子設計指針を得ることができた。すなわち、電位検出部位と蛍光発色団を分離し、電子移動消光などにより速やかに励起エネルギーを散逸させることによって、感度と光安定性とを両立させることである。②この色素は神経細胞の診断の他にも、心筋のイオンチャネル標的薬のスクリーニングや、ミトコンドリア病の診断、ウイルスの侵入や放出に伴う細胞膜の変化の検出にも応用を期待できる。③新たに合成したホウ素化合物は、抗がん剤原料などにも応用できるだろう。