B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染者は,2019年の推計では世界で約3億人の持続感染者が存在し年間約89万人が死亡しており,治療薬開発は重要な課題である。薬剤開発において標的分子の立体構造データは必須であるが, HBVポリメラーゼの立体構造はウイルス発見から約60年近く経過した今なお解かれていない。本研究により予測分子モデルおよびシミュレーションの精度が期待以上に高いことが示唆され,薬剤探索の有用なツールとなることが示唆された。また,逆転写酵素(RT)ドメインの結晶化に世界で初めて成功し,立体構造の完全解明の日も近く,本研究の成果が薬剤開発の情報基盤の構築に貢献するものと確信する。
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