研究課題
標的G4配列モチーフであるテロメア G4に候補化合物を加え、光照射した後に変性ゲル電気泳動法または蛍光検出HPLCにより分離し、質量分析機により光クロスリンク成績体を検出する。異なるトポロジー(例えばc-myc G4配列)や、G4ループ長(例えばテロメアG4配列)を持つ他の類似G4配列モチーフ、細胞内において主たる構成成分となる二本鎖DNA配列を準備し、混合物中の反応からオフターゲット作用を検証する。候補化合物類の培養細胞へ対する添加試験を行い、リガンド由来の蛍光強度を指標として細胞への取り込みを蛍光顕微鏡により確認する。次に、取り込みが確認された候補化合物を培養細胞に処理し、光クロスリンク形成の前後においてテロメアを定量PCR法により分析することで、変化を解析する。その後、光照射により光クロスリンクの開裂反応(逆反応)を進行させ、可逆的遺伝子制御を検討する。最後に細胞(全ゲノム)レベルでのオフターゲットを検証する。G4光クロスリンク試薬の投与、光照射の有無を比較対象として細胞からmRNAを単離し、次世代シーケンサー(Mi-Seq)によるトランスクリプトーム解析を行う。これにより光クロスリンクの有無により大きく変動するmRNAを同定し、その遺伝子プロモーター配列を得ることでG4配列モチーフ選択性を検証する。ここで、候補化合物が結合しやすいG4配列モチーフを得て、ドッキングスタディによるスコアリングへとフィードバックし、より選択性が高い光クロスリンク試薬の設計へつなげる。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、研究活動が大幅に制限された。これにより、光クロスリンク化合物の設計および、その有機合成が遅滞してしまった。
これまでに、第一世代光クロスリンク試薬の合成が完了し、さらにin vitroにおいてグアニン四重鎖選択的な架橋に成功している。今後、架橋点の同定と培養細胞レベルでの機能評価を行うことで、当初目標の達成をはかる。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う研究活動の制限により、当初計画していた「G4光クロスリンク試薬処理した細胞の遺伝子発現(mRNAレベル)確認」が実施できていない。ここで計画していた、mRNA変動を解析するためのトランスクリプトーム解析実験、RT-PCR実験、これらにかかる細胞生物学実験を次年度に行うため、各種消耗品購入に計上する予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 4件)
Biomolecules
巻: 12 ページ: 69~69
10.3390/biom12010069
Chemical Communications
巻: 57 ページ: 7236~7239
10.1039/d1cc03294a
Translational and Regulatory Sciences
巻: 3 ページ: 89~92
10.33611/trs.2021-019
Organic & Biomolecular Chemistry
巻: 19 ページ: 8035~8040
10.1039/d1ob01500a