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2020 年度 実施状況報告書

がんのエネルギー代謝スイッチ機構を標的とした小分子阻害剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05744
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

川谷 誠  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (50391925)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん / 代謝 / 阻害剤
研究実績の概要

がん細胞は周囲の環境に応じて代謝を巧みに適応させることで旺盛な増殖を支えている。このような生存のための代謝適応は、がん治療の有望な標的になると考えられるが、エネルギー代謝のスイッチ機構は不明な点が多い。本研究は、グルコーストランスポーターであるGLUT1をノックアウトしたがん細胞を用いてエネルギー代謝のスイッチ機構を明らかにし、それを標的とした小分子阻害剤を開発することを目的とする。
DLD-1野生型細胞とDLD-1 GLUT1-/-細胞のMSベース定量プロテオーム解析を行い、GLUT1-/-細胞において定量値のついた約6,000タンパク質のうち約400タンパク質で有意に発現量が変化していた。これらの中で、有意な発現量の増加がみられた代謝関連タンパク質について、そのリコンビナントタンパク質を用いて化合物アレイスクリーニングを行った。その結果、理研NPDepo化合物ライブラリー約22,000化合物をスクリーニングし、複数のヒット化合物を取得した。
また、バックアップスクリーニングとして、がん細胞の増殖あるいはエネルギー代謝の阻害を指標にしたセルベーススクリーニングを実施した。その結果、NPDepo化合物ライブラリーから複数のヒット化合物を取得した。ヒット化合物の中には、さまざまながん細胞に対して強い増殖阻害活性を示す化合物や、ある種のがん細胞に選択的に毒性を発揮する化合物などが含まれており、今後詳しい作用機構を調べていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は主に、グルコーストランスポーター1(GLUT1)をノックアウトしたヒト大腸がんDLD-1 GLUT1-/-細胞とDLD-1野生型細胞の定量プロテオミクス解析から得られたエネルギー代謝スイッチ候補因子に対する化合物アレイスクリーニングを行い、ヒット化合物を取得することができて、当初の予定通りおおむね順調に進んだ。また、バックアップスクリーニングとして実施した表現型スクリーニングにおいても複数のヒット化合物を取得することができた。

今後の研究の推進方策

今後は引き続き、メタボローム解析やプロテオーム解析等を駆使して、がんのエネルギー代謝スイッチに関わる分子や経路の同定を目指す。また、ターゲットベーススクリーニングおよびセルベーススクリーニングにより、がん代謝を標的とした小分子阻害剤の探索および同定を進める。

次年度使用額が生じた理由

実験用消耗品等にかかる物品費や成果発表にかかる旅費が当初見込んでいた費用を下回ったため、次年度使用が生じた。この残額は、次年度の物品費あるいは旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Does local injection of reveromycin A inhibit tooth movement without causing systemic side effects?2021

    • 著者名/発表者名
      Kako Shunsuke、Tabuchi Masako、Miyazawa Ken、Tanaka Miyuki、Minamoto Chisato、Asano Yuichiro、Kimura Fumika、Aoki Yuki、Sato Takuma、Kawatani Makoto、Osada Hiroyuki、Maeda Hatsuhiko、Goto Shigemi
    • 雑誌名

      European Journal of Orthodontics

      巻: 43 ページ: 658~664

    • DOI

      10.1093/ejo/cjaa067

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reveromycin A, a novel acid-seeking agent, ameliorates bone destruction and tumor growth in multiple myeloma2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe K, Bat-Erdene A, Tenshin H, Cui Q, Teramachi J, Hiasa M, Oda A, Harada T, Miki H, Sogabe K, Oura M, Sumitani R, Mitsui Y, Endo I, Tanaka E, Kawatani M, Osada H, Matsumoto T, Abe M
    • 雑誌名

      Haematologica

      巻: 106 ページ: 1172-1177

    • DOI

      10.3324/haematol.2019.244418

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Inhibition of mitochondrial complex I by the novel compound FSL0260 enhances high salinity-stress tolerance in Arabidopsis thaliana2020

    • 著者名/発表者名
      Sako K, Futamura Y, Shimizu T, Matsui A, Hirano H, Kondoh Y, Muroi M, Aono H, Tanaka M, Honda K, Shimizu K, Kawatani M, Nakano T, Osada H, Noguchi K, Seki M
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 10 ページ: 8691

    • DOI

      10.1038/s41598-020-65614-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 2DE-CETSAを用いた抗がん活性化合物CP10801の作用機構解析2020

    • 著者名/発表者名
      青野晴美、川谷誠、室井誠、永澤生久子、二村友史、長田裕之
    • 学会等名
      第24回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [備考] 理化学研究所 環境資源科学研究センター ケミカルバイオロジー研究グループ

    • URL

      http://www.cbrg.riken.jp/csrs/ja/

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公開日: 2021-12-27  

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