研究課題
フェロトーシスは鉄依存的な過酸化脂質の蓄積により引き起こされる新しいタイプの細胞死であり、フェロトーシス制御メカニズムの分子レベルでの理解はがんの治療抵抗性克服のための極めて重要な課題である。本研究では、研究代表者が最近見出した独自のフェロトーシス制御化合物“ferroxin”をツールとして用いたケミカルバイオロジー研究により、フェロトーシス制御に関わる未知の分子やシグナル伝達経路の解明と新たながん治療戦略の提唱を目的とした。初年度である本年度は、以下の2点に注力した。1) ferroxinの結合タンパク質の解析:ferroxinの標的分子を同定するため、光親和型固定化法により作製したferroxinのアフィニティービーズを用い、プルダウンアッセイによりがん細胞の抽出液の中からferroxinの結合タンパク質の探索を行った。その結果、フェロトーシス制御に関わるferroxinの標的タンパク質の候補を見出した。2) ferroxinがフェロトーシス制御タンパク質の発現レベルに与える影響の解析:ferroxinがフェロトーシスを制御するメカニズムを解明するため、ferroxinが既知のフェロトーシス制御タンパク質の発現量に与える影響をウェスタンブロット法により解析した。その結果、ferroxinはフェロトーシスとの関連が報告されたタンパク質の発現量を変化させること、その活性のパターンは既知のフェロトーシス制御化合物のものとは異なることを見出した。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)