2019年7月下旬にサンプリングしたイネの各種フィトクローム変異体と野生型の日本晴のイネの葉に共生する糸状菌類の多様性解析を行った。検討した各種多様性指数(ASV数、Chao1、ACE、シャノン、シンプソン)で変異体と野生型の日本晴の間で有意に異なるものは観察されなかった。 菌群の存在比について検討したところ、検出された6門中、AscomycotaとBasidiomycotaがそれぞれ約40%から60%を占め、これら2つの菌群間で高い負の相関性を示した(相関係数-0.9898、決定係数0.9957)。しかしながら、門レベルではいずれの菌群の存在比についても変異体と野生型の日本晴の間に有意差は認められなかった。綱レベルにおいては、2つの変異体(PhyA/PhyB、PhyA/PhyB/PhyC)についてMicrobotryomycetesの存在比が野生型の日本晴と有意に大きく異なることが明らかとなった。目レベル科、レベルにおいても、2つの変異体(PhyA/PhyB、PhyA/PhyB/PhyC)についてSporidiobolales、Sporidiobolaceaeの存在比が野生型の日本晴と有意に大きく異なることが明らかとなった。 葉共生糸状菌、根の共生糸状菌と共生細菌についての一通りの多様性解析の結果から、メタゲノム解析は野生型の日本晴とPhyA/PhyCの変異体の根についてのみ検討することとした。メタゲノム解析用の根共生微生物群集DNAを調製し、ショットガンシークエンスによるメタゲノム配列データを無事に得た。それらの得られたデータの詳細(多様性と機能性)について今後検討を進める予定である。
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