研究実績の概要 |
Geobacter sulfurreducensは細胞外への電子伝達能力が極めて高く、電極への電子伝達メカニズムの解明に向けたモデル生物として精力的に研究が行われている。本研究では本株の電極への高い電子伝達能力の仕組みを明らかにすることを目的とし、電極への高効率な電子伝達に必須な細胞外膜シトクロムOmcZの3次元構造の解明を試みた。OmcZの大量発現系とそれに続く精製を行うため、まずはC末端に6個のヒスチジンを付加したOmcZL全長を過剰発現させるためのOmcZL発現プラスミドを構築し、G. sulfurreducensを形質転換することで、OmcZLの大量生産を行った。HisTrapカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製OmcZLを大量調整した。精製したOmcZLについて、シッティングドロップ法による結晶化条件の検討では、1,152条件のうち、良好な結晶の形成が確認されていた条件について、さらに塩濃度、沈殿剤濃度、pHを改めて条件の再検討をハンギングドロップ法によって試験し、多数の条件で良好な結晶が得られた。得られた結晶について、X線回折データの収集を試みたところ、昨年度より高い分解能の2.2Åのデータを得ることに成功した。さらに、Pt、Hg、Au、Pbの4種類の重原子を用いて、これらを含むクライオ溶液に結晶を浸し、結晶の重原子置換体を作成した。大型放射光施設にて、得られた結晶から位相決定のためのデータを収集した。
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