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2020 年度 実施状況報告書

ヒ素高蓄積植物モエジマシダ根圏で亜ヒ酸酸化活性を担う新規亜ヒ酸酸化細菌の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K05778
研究機関東北学院大学

研究代表者

宮内 啓介  東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード亜ヒ酸酸化 / モエジマシダ / 細菌
研究実績の概要

ヒ素高蓄積植物であるモエジマシダは、環境中のヒ酸を根から吸収し、亜ヒ酸はヒ酸に酸化してから吸収する。亜ヒ酸酸化細菌Pandoraea sp. NE5株は、モエジ マシダ根圏から単離された、亜ヒ酸酸化能を有する細菌である。しかし、そのゲノム配列からは、既知の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子であるaioABに相同性をもつORFは 見出されなかった。そこで、本菌の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子を明らかにするとともに、モエジマシダ根圏での本菌の役割を探ることとした。
昨年度NE5株ゲノムから単離し、高発現用プラスミド中に挿入した8個のORFおよびそれを含む遺伝子群については、形質転換株で亜ヒ酸酸化活性の情報が見られなかったため、そのうち1つについて、NE5株中での発現をRT-qPCRを用いて確認した。その結果、転写量が大きく情報していることが示された。このことから、高発現用に作製したプラスミドは機能していると考えられるため、上記8個のORFについては、亜ヒ酸酸化に関与していないことが示唆された。
NE5株にトランスポゾンを導入し、亜ヒ酸酸化能が低下した株を単離した。約3000クローンをスクリーニングし、24個の変異株を得ることに成功した。同じORFの異なる(あるいは同じ)場所にトランスポゾンが挿入された株もいくつか存在し、それらを整理すると、18個のORFに分類された。これらに上記の8種類のORFは含まれていなかった。その中には、モリブデンの取り込みに関与する遺伝子やモリブドプテリンの合成に関わる遺伝子が含まれていた。亜ヒ酸酸化酵素 AioABもその活性にモリブデンを必要とすることから、NE5株の亜ヒ酸酸化酵素もAioABと似た配列をもつ可能性が示唆された。しかし、亜ヒ酸の酸化に直接関与するようなORFは得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

トランスポゾンを用いたランダムな変異株作成によって、亜ヒ酸酸化能を失った変異株を取得することができ、挿入部位の同定も終了した。しかし、亜ヒ酸酸化に関与する遺伝子群の同定には至らなかった。モエジマシダへの摂取実験を行うことができず、次年度の課題となった。

今後の研究の推進方策

引き続き、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子のクローニングを進めていく。変異株のスクリーニングで得られたORFについては、破壊株の作製や高発現株の作製を行う。活性にはモリブデンが必要である可能性が高いため、モリブデン結合部位をもつORFをゲノム配列から抽出することも考えている。NE5株の亜ヒ酸酸化活性は、定常期以降に現れるので、RNAの発現を調べることにも取り組みたい。
また、モエジマシダの水耕栽培にNE5株を加えて、NE5株がモエジマシダの生育やヒ素吸収に与える影響を調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

必要な消耗品を購入する必要があったが、若干のストックがあったため、次年度に購入することとした。

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公開日: 2021-12-27  

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