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2023 年度 実施状況報告書

ヒ素高蓄積植物モエジマシダ根圏で亜ヒ酸酸化活性を担う新規亜ヒ酸酸化細菌の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K05778
研究機関東北学院大学

研究代表者

宮内 啓介  東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードヒ素 / 亜ヒ酸酸化 / Pandoraea
研究実績の概要

ヒ素高蓄積植物であるモエジマシダは、環境中のヒ酸を根から吸収し、亜ヒ酸はヒ酸に酸化してから吸収する。亜ヒ酸酸化細菌Pandoraea sp. NE5株は、モエジマシダ根圏から単離された、亜ヒ酸酸化能を有する細菌である。しかし、そのゲノム配列からは、既知の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子であるaioABに相同性をもつORFは見出されなかった。そこで、本菌の亜ヒ酸酸化に関与する酵素遺伝子を明らかにするとともに、モエジマシダ根圏での本菌の役割を探ることとした。
昨年度までの研究で、NE5株にトランスポゾン(Tn)を導入し、亜ヒ酸酸化能が低下した変異株を24株得ている。そのうち、oxidoreductaseと相同性を示すORF(LOCUS_16990)にTnが挿入された変異株が24株中4株確認され、それぞれ異なる部位に挿入されていたことから、このORFが亜ヒ酸酸化に関わっている可能性が強く示唆された。また、モリブドプテリン生合成に関与すると考えられるmoaD相同遺伝子にTnが挿入された変異株も取得された。本年度は、この2つを対象として破壊株の作成を試みた。ターゲット遺伝子の上下流1kbずつを含む破壊用プラスミド(Km耐性遺伝子及びsacB遺伝子をもつ)をNE5株に導入したが、Km耐性を指標にして相同組換えを起こした菌を選択する際、spontaneousにKm耐性をもつコロニーが発生し、破壊株の取得には至らなかった。NE5株を用いて検討した結果、Km耐性株が一定の確率で発生することが明らかとなったため、薬剤耐性遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子に変更した。その結果、moaD破壊株の作製に成功した。また、moaD破壊株は亜ヒ酸酸化活性を失っていた。これらの結果から、亜ヒ酸酸化活性をもつ酵素は、モリブドプテリンを補酵素として利用する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

破壊株の作成方法を確立することができたが、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子の同定には至っていない。また、モエジマシダの調達のタイミングの問題で、植物を用いた実験がまだできていない。

今後の研究の推進方策

候補遺伝子の破壊を進めるとともに、亜ヒ酸酸化活性を示す時に特異的に発現する遺伝子の同定も行い、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子の同定と解析まで行いたい。植物根圏における定着や植物のヒ素吸収への貢献度も探っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

RNA発現解析、植物を用いた実験など、2023年度中に行う予定であった実験が遅れたため、次年度使用額が生じた。これらの研究をおこなって、適切に研究費を執行する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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