研究実績の概要 |
Kocuria rhizophila DC2201 の網羅的RNAシーケンス解析結果から、複数の糖転移酵素や異性化酵素の転写量向上が示唆されたことより、菌体外多糖類(EPS)がその有機溶媒耐性に関与していることが推測されていた。そこで、このオペロンの破壊株を作成した結果、破壊株において野生株と比較して有意に有機溶媒耐性の低下がみられた。この変異株の培養液中における多糖類を分析した結果、培養液中に生産・分泌されるEPSの総量が有意に減少していたことから、この多糖類が有機溶媒耐性に関与していることが示唆された。現在このEPSの構造の解析、およびEPS生産量向上による有機溶媒耐性向上株の作製を行っている。 K. rhizophila DC2201 が有するカロテノイド合成経路遺伝子を探索した結果、CrtEBIYeYfEbからなるオペロンを形成し、C50カロテノイドであるdecaprenoxanthin, sarcinaxanthin, sarprenoxanthinを生産していることが示唆された。オペロン中のCrtEbを破壊することで、これらC50カロテノイドの代わりにlycopeneを蓄積することがHPLCにて確認された。またこの破壊株に、外来遺伝子であるcrtWZY遺伝子を導入することでcanthaxanthin, zeaxanthin, astaxanthin などのカロテノイド合成を試みた。数種の微生物由来crtWZY遺伝子の発現を検討した結果、canthaxanthin およびzeaxanthin の生産を確認することができた。しかし、それぞれの活性の不足からastaxanthin の生産・蓄積には至っておらず、今後これら酵素の発現量向上が必要である。
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