研究課題/領域番号 |
19K05797
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
中川 明 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (10573107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸誘導プロモーター / 発現誘導 / 合成プロモーター / gad box |
研究実績の概要 |
本研究は、大腸菌における酸誘導プロモーターの開発であり、大腸菌ですでに酸に誘導されることがわかっているプロモーターを改変し、制御しやすく、ダイナミックレンジの大きいプロモーター配列を創製するものである.プロモーターの強弱はプロモーターとlacZレポーター遺伝子を融合し、lacZ活性を指標に測定する.よって、今回の研究において、lacZレポーター遺伝子が十分に機能し、且つ、できる限り対比のしやすい条件で研究を遂行することが求められる. まず、既知の酸誘導プロモーターについて、lacZレポーター遺伝子を融合させた上で、実際に酸に誘導されるかを確かめた.その結果、液体培地であまりエアレーションが良くない条件において、およそ6倍程度の酸誘導性が確認された.しかし、エアレーションがいい場合、2倍程度とあまりきれいな誘導は見られなかった.生育相は対数増殖期での酸誘導がもっとも大きな誘導性を示したが、再現性を取るのが難しく、より精度の高い実験系が望まれる. 次に、gad boxのみを有したプロモーターにlacZレポーター遺伝子を融合させたコンストラクトの酸誘導性を上記の不安定ながらも誘導能の高い条件下で観察したが、誘導されず、むしろ弱まったことから、gad box以外の配列が必要であることが示された.gad boxだけでは非酸性条件下でも発現が高まってることから、非酸性条件下での転写抑制能がgad boxにはないことが考えられた. 現在、より安定的な実験系の開発と、gadE遺伝子のgad box付近の配列の導入を試みている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思いの外、酸誘導性の観察は難しく、文献情報ほどのきれいなデータは得られていない. 恐らく対数増殖期の不安定さ、エアレーションの重要性が最初わからなかったため、実験系の開発に手間取っている. 現在、徐々にではあるが安定しつつあり、今後の加速が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
一応は酸誘導性が確認できたので、野生型のプロモーターを徐々に削って、酸誘導性に重要なDNA配列の範囲を狭めていく. 逆にgadEプロモーターのgad boxを起点に徐々に配列を増やしていき、どの領域がどのような(酸誘導性、非酸性条件下転写抑制等)機能があるのか、組み合わせも含めて検証していく.
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