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2019 年度 実施状況報告書

植物ステロール代謝に関わる新奇制御因子HiSE1の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05809
研究機関千葉大学

研究代表者

島田 貴士  千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (10713828)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードステロール / HIGH STEROL ESTER 1 / HMG-CoAレダクターゼ / シロイヌナズナ
研究実績の概要

ステロールは植物の生育に必須の脂質である。過剰なステロールは害になるため、ステロール量は厳密に制御されなければならない。これまでの私の研究から、ステロール量を負に制御する因子であるHIGH STEROL ESTER 1(HISE1)が見つかっている。しかし、HISE1がどのような分子機構に関わるのかは明らかになっていない。本研究ではHISE1の機能を探索することで、植物ステロール代謝に関わる分子基盤の解明を目指す。
2019年度の研究により、HISE1は、ステロール合成の律速酵素であるHMG-CoAレダクターゼ(HMGR)の量を負に制御する働きを持つことが示唆された。シロイヌナズナのhise1変異体の葉では、野生型に比べて、HMGR量が増加することがわかった。一方で、HMGR遺伝子の転写量は変わらなかった。このことから、HISE1はHMGRのタンパク質量の制御に関わることが示唆された。さらに、野生型の葉において、HMGR量が増加する薬剤やホルモンの検討を行っている。
これまでの研究から、hise1変異体の葉では、ステロールエステルの蓄積に関わるSEボディというオルガネラが異常形成されることがわかっている。私はSEボディ局在タンパク質として、LDAP3を見出している。LDAP3はSEボディの形成、ひいてはステロール合成制御に重要な役割を果たすと考えている。LDAP3の機能解析のために、2019年度はldap3 hise1二重変異体の作出を完了した。さらに、野生型またはhise1変異体背景で、LDAP3を過剰発現させる植物体の作出を完了した。
本年度はHISE1に関わる研究について、研究論文を国際誌に2報発表した(Nature Plants, Journal of Plant Research)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、HISE1が関与する分子機構の解明のために、HMGR量の制御機構と、LDAP3によるSEボディ制御機構の2課題を並行して進めている。2019年度の研究は、計画した1年目の実験を、ほぼすべて達成することが出来ている。特にHMGR量の制御機構についての成果は、植物科学の分野でトップクラスの雑誌であるNature Plants誌に研究論文を発表した。また、派生する研究成果について、Journal of Plant Research誌に研究論文を発表した。これらのことから、2019年度は研究をおおむね順調に進展させることができたと考えている。

今後の研究の推進方策

2019年度に引き続き、2020年度もHISE1が関与する分子機構の解明のために、HMGR量の制御機構と、LDAP3によるSEボディ制御機構の2課題を進めていく。
HISE1が実際にHMGRの分解に関わることを示すために、シロイヌナズナの葉にタンパク質分解阻害剤を与えることで、HMGR量が増加するかを探索する。さらに、HISE1の過剰発現により、HMGR量が減少するかを確かめる。派生した研究として、HISE1に結合するタンパク質が明らかになってきており、これらがHMGRの分解に関わるかを明らかにしていく。
ldap3 hise1二重変異体やLDAP3過剰発現体でのSEボディを観察し、野生型やhise1変異体に比べて、形態や量がどのように変化するかを明らかにする。さらに、それぞれの植物体におけるステロールエステル量を測定する。また、SEボディに局在するタンパク質として、LDAP3のアイソフォームであるLDAP1、LDAP2や、機能未知のタンパク質がいくつか見つかっており、これらの機能についても、変異体解析により明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A space-saving visual screening method, Glycine max FAST, for generating transgenic soybean2020

    • 著者名/発表者名
      Iwabuchi Kosei、Shimada Takashi L.、Yamada Tetsuya、Hara-Nishimura Ikuko
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 15 ページ: 1722911~1722911

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1080/15592324.2020.1722911

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Excess sterols disrupt plant cellular activity by inducing stress-responsive gene expression2020

    • 著者名/発表者名
      Shimada Takashi L、Yamaguchi Katsuki、Shigenobu Shuji、Takahashi Hiro、Murase Masataka、Fukuyoshi Shuichi、Hara-Nishimura Ikuko
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1007/s10265-020-01181-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] HIGH STEROL ESTER 1 is a key factor in plant sterol homeostasis2019

    • 著者名/発表者名
      Shimada Takashi L.、Shimada Tomoo、Okazaki Yozo、Higashi Yasuhiro、Saito Kazuki、Kuwata Keiko、Oyama Kaori、Kato Misako、Ueda Haruko、Nakano Akihiko、Ueda Takashi、Takano Yoshitaka、Hara-Nishimura Ikuko
    • 雑誌名

      Nature Plants

      巻: 5 ページ: 1154~1166

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1038/s41477-019-0537-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 過剰なステロール蓄積が植物の生理機能に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      島田貴士、重信秀治、山口勝司、高橋広夫、福吉修一、上田 貴志、西村 いくこ
    • 学会等名
      第61回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] メバロン酸経路の負の制御因子HIGH STEROL ESTER1の解析2019

    • 著者名/発表者名
      島田貴士、嶋田知生、岡咲洋三、東泰弘、斉藤和季、桑田啓子、小山香梨、加藤美砂子、高野義孝、上田貴志、中野明彦、上田晴子、西村いくこ
    • 学会等名
      第2回天然ゴム研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 植物ステロール過剰蓄積が及ぼす植物体への影響2019

    • 著者名/発表者名
      島田貴士、重信秀治、山口勝司、高橋広夫、福吉修一、 上田貴志、西村いくこ
    • 学会等名
      第32回植物脂質シンポジウム
  • [学会発表] 葉にオイルボディを過剰蓄積するシロイヌナズナ変異体lipid rich 1の解析2019

    • 著者名/発表者名
      山口萌、重信秀治、山口勝司、高橋広夫、福吉修一、島田貴士
    • 学会等名
      第32回植物脂質シンポジウム
  • [学会発表] HIGH STEROL ESTER 1 is a key regulator in plant sterol biosynthesis2019

    • 著者名/発表者名
      Shimada Takashi L.、Shimada Tomoo、Okazaki Yozo、Higashi Yasuhiro、Saito Kazuki、Kuwata Keiko、Oyama Kaori、Kato Misako、Ueda Haruko、Nakano Akihiko、Ueda Takashi、Takano Yoshitaka、Hara-Nishimura Ikuko
    • 学会等名
      8th Asian-Oceanian Symposium on Plant Lipids (ASPL2019)
    • 国際学会
  • [備考] 島田研究室情報

    • URL

      https://researchmap.jp/yuzurin/

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公開日: 2021-01-27  

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