ステロールは植物の生育に必須の脂質である。私のこれまでの研究により、ステロール合成を負に制御するHIGH STEROL ESTER 1(HISE1)というタンパク質を発見している。HISE1は、ステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA reductase(HMGR)のタンパク質量を負に制御する因子であった。しかし、HISE1がどのような分子機構により、ステロール代謝を制御しているかは、これまで明らかになっていない。 HMGRのタンパク質量が変化する条件を調べるために、HMGR1-GFPを発現するシロイヌナズナに、植物ホルモン処理やストレス処理を与え、HMGR1-GFP蛍光が変化するかを観察した。その結果、栄養欠乏処理により、根の先端でのHMGR1-GFP蛍光が消失することが明らかになった。さらに、hise1変異体背景においてHMGR1-GFPを発現するシロイヌナズナに、同様の栄養欠乏処理を行ったところ、HMGR1-GFP蛍光の消失は見られなかった。これらの結果から、栄養欠乏ストレスにより、HISE1を介して、HMGR量の減少が起こることが示唆された。栄養欠乏時にステロール量の制御が行われ、根の慎重に関わることが推測される。 オイルボディのプロテオミクスより、オイルボディ局在タンパク質候補が数百種類得られている。これらのタンパク質がオイルボディに局在するかを観察した。その結果、40種類のタンパク質を解析して、5つのオイルボディ局在タンパク質を発見することに成功した。これらのタンパク質は、これまでオイルボディ局在であることが知られておらず、新規のオイルボディ局在タンパク質と言える。これらのタンパク質の解析により、オイルボディの新たな生理機能が明らかになると期待している。
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