前年度にリボゾーム工学的育種によりキシラナーゼ活性が上昇したPaenibacillus agaridevorans T-3040株において、キシラナーゼと推定される遺伝子PAT3040_04349およびPAT3040_06516をそれぞれpET28aにクローニングした。野生型のP. agaridevorans T-3040株およびキシラナーゼ活性が上昇したrsmG変異株、rpoB変異株ともキシランで培養すると菌体外にキシロースを蓄積することが明らかになった。大腸菌組み換えPAT3040_06516は、キシランをキシロビオースに分解することが明らかになったが、キシロースまでは分解しなかった。PAT3040_04349遺伝子の発現は成功に至っていないが、これがキシロビオースをキシロースまで分解する可能性があると考えられるので、発現系の再構築を試みている。 環状イソマルトオリゴ糖に糖鎖を導入する性質を持つグルカンスクラーゼ活性を有する乳酸菌2株Leuconostoc citreum S-32株および同S-64株はゲノム解析の結果、互いによく似たグルカンスクラーゼ遺伝子と推定される遺伝子が3組ずつ存在した。これらの遺伝子についてリアルタイムRT-PCRで発現解析を行ったところ、S-32株は3種類とも高い発現量を示したが、S-64株はいずれの遺伝子の発現量も少なかった。S-64株はグルカンスクラーゼ遺伝子が休眠遺伝子に近い状態である可能性があり、S-32株はさらに酵素生産を高めるために、これらの菌株にストレプトマイシンやリファンピシン耐性の付与を試みた。 リボゾーム工学法による酵素活性の上昇を、キシラナーゼ、アガラーゼ、PET分解酵素、グルカンスクラーゼを指標に試みたが、この中で顕著な活性上昇がみられたのはT-3040株のキシラナーゼのみであった。
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