研究課題/領域番号 |
19K05816
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 清貴 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (20381189)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | アラビノガラクタン・プロテイン / ビフィズス菌 / 糖質分解酵素 |
研究実績の概要 |
申請者らは、既にビフィズス菌Bifidobacterium longumが有するアラビノガラクタン・プロテイン(AGP)分解酵素群のうち、アラビアガム由来のAGPの側鎖末端に存在するD-galactopyranosyl-α-L-arabinofuranose (GA)を切断する3-O-α-D-galactopyranosyl-α-L-arabinofuranosidase (GAfase)の諸性質を解析済みである。本年度は、B. pseudocatenulatumに保存された相同配列のクローニングとその組換え酵素の諸性質の解析を中心に研究を行った。大腸菌で発現させた組換え酵素は、カラマツ由来のAGPの側鎖末端に存在するL-arabinopyranosyl-β1,3-L-arabinofranose (AA)の遊離を触媒する、3-O-β-L-arabinopyranosyl-α-L-arabinofuranosidase (AAfase)であることが確認できた。本酵素の至適pHは6.5、至適温度は35~45℃であった。カラマツ由来のAGPに対する活性を100%として各基質に対する反応性を検討した結果、アラビアガム、アラビナンに対してはそれぞれ43.92%、8.75%の活性を示した。また、AA-α-OMeに対する活性を100%とするとGA-αOMeに対する活性は11.60%であった。このため、本酵素はGAfaseとは対照的にGAよりもAAの方を優先的に遊離することが明らかになった。成人の大腸内ではB. longumとB. pseudocatenulatumとB. adolescetis等の成人型ビフィズス菌が定着していることが知られている。本研究により、AGPの側鎖末端に付加されたAAやGAは成人型ビフィズス菌の協同作用によって効率的に分解されていることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題遂行に最も重要な糖質分解酵素のクローニングと組換え酵素の機能解析に成功し、その役割を明らかにしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度はAAfaseの詳細な機能解析に加え、遊離された二糖であるL-arabinopyranosyl-β1,3-L-arabinofranose (AA)の分解代謝に作用すると予想される糖質分解酵素β-L-arabinopyranosidase候補遺伝子のクローニングとその組換え酵素の諸性質の解析を中心に研究を行う予定である。また、小麦やサツマイモなど私たちが日常的に摂取している様々な植物由来のAGPにおけるAAの含有割合を調査し、AAを分解できるAAfaseの存在意義を評価する予定である。
|