研究課題/領域番号 |
19K05825
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高梨 功次郎 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (10632119)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ムラサキ / シコニン / アルカニン / アシル基転移酵素 |
研究実績の概要 |
薬用植物ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon) が生産する脂溶性二次代謝産物であるシコニン誘導体は抗菌活性や抗腫瘍活性を有することから、ムラサキの根を乾燥させたものは「紫根」と呼ばれ、古くから生薬として用いられてきた。シコニン誘導体のほとんどはアシル化修飾を受けており、シコニンの鏡像異性体であるアルカニンとの組み合わせにより、多様なシコニン/アルカニン類縁体が存在する。シコニン/アルカニン類縁体の生理活性は主にアシル基によって異なるため、アシル基転移酵素を同定・機能解析することは多様なシコニン/アルカニン類縁体の生産につながる可能性がある。そこで、本研究ではムラサキのシコニン/アルカニン類縁体生合成経路の最終反応ステップであるアシル化反応を担う酵素の同定・機能解析を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ムラサキ培養細胞のオミックス解析を行い、シコニン生産時に発現が上昇する遺伝子およびタンパク質をリスト化した。今年度はそのリストの中からBAHDアシル基転移酵素2分子種に着目して機能解析を行った。大腸菌発現系およびタバコ発現系を用いて2分子種を精製して酵素アッセイを行ったところ、1分子種がシコニン特異的に、もう1分子種がアルカニン特異的にアシル基転移活性を有していることを見出した。それぞれLeSAT1(L. erythrorhizon shikonin acyltransferase)およびLeAAT1(L. erythrorhizon alkannin acyltransferase)と名付け、至適pHや基質親和性などの諸特性を調べた。
|
今後の研究の推進方策 |
ムラサキ培養細胞を用いてフィーディング実験を行った先行研究において、シコニン/アルカニンのアシル基転移酵素は、デオキシシコニンに水酸基を導入してシコニン/アルカニンを生産する酵素と複合体を形成することが示唆されている。そこで今後はYeast Two-Hybrid法を用いてLeSAT1およびLeAAT1と相互作用するタンパク質の同定を試みる。
|