研究実績の概要 |
Caldicellulosiruptor bescii由来β-1,6-グルコシダーゼ(CbGH30_1)の結晶化条件の最適化を行った。また、同条件において、本酵素の生成物であるグルコースとの複合体の結晶化も行った。X線回折装置を用いて各結晶からの回折強度データを測定した。すでに明らかにされているSalmonella typhimurium由来GH30タンパク質SrfJの構造をモデルとした分子置換法により位相決定を行い、分解能約2オングストロームで構造を決定した。CbGH30_1は他のGH30酵素と同様にTIMバレル構造を持つことが明らかとなった。酵素-生成物複合体において、グルコースはサブサイト-1の位置に結合していると予想された。 ラミナリビオース、α-グルコシルフルオリド、α-グルコース 1-リン酸を基質として、HhGH30Aのグライコシンターゼと、Ochromonas danica由来β-1,3-グルカンホスホリラーゼ(β-1,3-グルカン伸長酵素)の反応を同時に行った。その結果、直鎖β-1,3-グルカンの沈殿(α-グルコース 1-リン酸を基質としたβ-1,3-グルカンホスホリラーゼのみの反応で生じる)は生じず、水溶性の多糖が合成された。生成した多糖をエタノール沈澱で回収し、メチル化分析により構造を解析した。その結果、水溶性多糖はβ-1,6-グルコシド結合による分岐を有するβ-1,3-グルカン(β-1,3-1,6-グルカン)であることが明らかとなった。また、この水溶性多糖のグルコース重合度をサイズ排除HPLCで分析したところ、数平均重合度が35、重量平均重合度が56と計算された。
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