XIPをターゲットとしたイネの耐病性の強化を行った場合、必然的に高い耐病性と難糖化性(難分解性)という形質を付与することとなる。高い耐病性はコメの収量増大をもたらすメリットがあるものの、難糖化性は生物によるイネ植物体の完全分解をしにくくし、持続可能な循環型農業の確立にとって好ましくないデメリットを与えるものと考えられる。本研究の遂行によって得られた成果は、イネのXIPを用いた生体防御の仕組みを分子レベルの解像度で明らかにしたものであり、耐病性強化一辺倒ではなく、このようなジレンマに抵触しない高い耐病性を備えかつ微生物分解され易い栽培品種の開発に役立てられるものと考えられる。
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