研究課題/領域番号 |
19K05838
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
野村 崇人 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (60373346)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ストリゴラクトン / 生合成 / 酵素 |
研究実績の概要 |
ストライガやオロバンキといった根寄生植物は、宿主植物の根に寄生して養水分を奪うため、世界各地の農作物に甚大な被害を与えている。現在までに根寄生雑草の有効な防除法は確立されていない。根寄生雑草の種子は植物の根から浸出されるストリゴラクトン(SL)と呼ばれる二次代謝産物を認識して発芽する。これまでにストライガ耐性形質を示すソルガムの変異体から、その耐性を付与した原因遺伝子LGS1が同定されている。LGS1遺伝子はSLの一種である5-デオキシストリゴール(5DS)の立体選択的な環化反応に関わる生合成酵素をコードしていると考えられるが、その機能は解明されていない。本研究では、根寄生雑草を制御する技術の基盤となりうるLGS1酵素の機能の解明を目的としている。LGS1遺伝子がコードしているタンパク質は硫酸基転移酵素に類似している。これまでにソルガムlgs1変異体植物において蓄積していると推定される基質候補のSL前駆体をLC-MS/MSを用いて探索し、その1つを同定している。その候補基質と大腸菌を用いて発現させたLGS1タンパク質をインキュベートしたところ、硫酸基供与体依存的に5DSの生成が確認されたが、その立体異性体である4-デオキシオロバンコール(4DO)も検出された。立体選択的な反応が見られなかった理由として、大腸菌を用いた異種発現の影響が考えられたので、ベンサミアナタバコを用いた一過的発現系を用いてLGS1タンパク質を発現させて、代謝実験を行った。しかしながら、同様に5DSと4DOの生成が確認された。立体選択的な5DS生合成には、LGS1酵素による硫酸基付加の後、他の酵素により進む可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの実験を進めた。国内外の学会や論文で研究成果を発表し、関連成果について特許を出願した。
|
今後の研究の推進方策 |
立体選択的な5DS生合成経路の解明のため、LGS1と共にその経路で働く酵素の絞り込みを行う。候補酵素は大腸菌、酵母およびベンサミアナタバコの発現系を用いて機能を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予算はほぼ使用した。次年度の使用計画に影響はない。
|