研究課題/領域番号 |
19K05844
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
久世 雅樹 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40335013)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 生体成分 / 生理活性 / タンパク質 / 有機化学 / 生物発光 |
研究実績の概要 |
本研究では、発光タンパク質(フォラシン)について、①フォラシンの活性部位に存在するクロモフォアの化学構造を解明し、②発光基質であるデヒドロセレンテラジン(DCL)誘導体の構造活性相関を調べ、③選抜した高活性型DCLとアポフォラシンで再構成したフォラシンを、活性酸素種(ROS)検出のための高輝度発光系として創出すること、を目的としている。 昨年度、遺伝子発現アポフォラシンとDCLでフォラシンを再構成して発光させることに成功していることから、本年度はDCLの構造と発光活性の相関を調べる研究に着手した。まず、DCLにヘテロアリール基を導入する合成経路について精査した。その結果、窒素原子をもつアリール基の導入は困難であったが、窒素原子にメチル基を一つ導入すると、N-アリール基が導入できることを見出した。また、硫黄原子をもつアリール基は発光させる際の消去剤として反応してしまうが、これをスルホンとすることで問題を回避することにした。これによりスルホニルアリール基の導入が可能になった。これで、酸素、窒素、硫黄原子をもつヘテロアリール基を置換基にもつ非天然型分子の合成を達成することができた。 また、これら非天然型DCLにおける、アリール基の置換基効果を調べるための誘導体の合成も行った。電子吸引基としてフッ素原子を、電子供与基としてヒドロキシ基、メトキシ基、アルキル基を選抜し、これらを置換基にもつアリール基を導入したDCL誘導体を合成することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非天然型分子の発光活性を調べるための手法を確立しており、計画どおり構造活性相関の研究に着手しており、非天然型分子の合成を進めていることから、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
合成した非天然型分子の発光活性をしらべ、構造活性相関の知見を基に、発光強度を高めるための方策を確立し、高活性型の人工フォラシンの創製を目指す。
|