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2019 年度 実施状況報告書

炎症-抗炎症スイッチングに着目したVibsanin類の構造展開と作用機序解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K05846
研究機関香川大学

研究代表者

柳田 亮  香川大学, 農学部, 准教授 (10598121)

研究分担者 川浪 康弘  香川大学, 農学部, 教授 (30169742)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードプロテインキナーゼC / 炎症 / 発がんプロモーション / 天然物
研究実績の概要

本研究では,サンゴジュに含まれるvibsanin A類縁体と合成誘導体の生物活性を評価し,プロテインキナーゼC (PKC) の活性化を介したvibsanin Aの抗炎症誘導活性に重要な構造を明らかにすることを目的としている。さらに,構造活性相関の知見に基づいて,天然物とは逆の発がん促進活性を示すvibsanin Aアナログの開発を目指す。
本年度はまずサンゴジュの葉からvibsanin A約20 mgと類縁体vibsanin B数百mgを単離した。Vibsanin Aは比較的不安定であり、シリカゲルHPLCで分解を起こすため、精製は逆相系で行った。Vibsanin A、vibsanin B、および以前単離したepoxyvibsanin BのPKC C1ドメインに対する結合試験の結果から、vibsanin Aのエポキシ基がC1ドメインとの水素結合に関与していることが示唆された。
次に、PKC C1ドメインとの結合に重要なvibsanin類の水素結合性官能基を明らかにするため誘導体合成を行った。まずvibsanin AおよびBの18位水酸基をシリルエーテルとして保護し、フッ素化試薬を作用させた。Vibsanin Bでは、不飽和ケトンよりも3級水酸基が優先的にフッ素化されることが明らかとなった。また、vibsanin Bのケトンを還元し、同様のフッ素化反応を行った。
また、vibsanin類のPKC C1ドメイン結合能を予測するため、分子動力学(MD)シミュレーションと機械学習を組み合わせた手法により、回帰モデルを構築した。この回帰モデルの構築に使用したvibsanin類はvibsanin Aのみであるが、様々なvibsanin類の結合能を学習に取り入れることでvibsanin類に対する精度の向上が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、vibsanin AおよびBをサンゴジュ葉から精製し、PKC C1ドメイン結合能を評価するとともに、数種の誘導体を合成した。また、当初の計画とは別に機械学習モデルの構築を行った。しかしながら、誘導体の結合能評価と細胞系での炎症誘導アッセイを行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

天然からはvibsanin AではなくBを比較的多く得ることができるため、vibsanin Bから数段階の反応により、vibsanin Aと同程度のPKC C1ドメイン結合能を有する誘導体を合成する。合成できた誘導体はPKC C1ドメイン結合試験および細胞系での活性試験により生物活性を評価する。Vibsanin Bは加熱によるoxy-Cope転位によりvibsanin Cへと骨格が変化することが知られているため、こういった転位反応を利用して、2環式骨格を有する新奇PKCリガンドの合成を試みる。

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公開日: 2021-01-27  

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