細胞性粘菌の Steely酵素は、I型ポリケタイド合成素(PKS)とIII型PKSが融合するという構造を持つ唯一のPKSである。SteelyB酵素は発生の中期に予定胞子細胞で分化誘導分子を合成し、子実体期では柄細胞でIII型PKSを分離して塩化ジベンゾフランを合成する。本研究では、SteelyB酵素が子実体期に酵素を分離させることの意義、第2の産物である塩化ジベンゾフランの生態学的な意義を解析した。その結果、異なる産物合成へのスイッチは酵素の分離よりも発現場所の変化が重要であること、また、LCC-1は強い抗菌活性を示し、欠損株は細菌を捕食した場合、胞子塊形成にも影響が出ることがわかった。
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