研究課題/領域番号 |
19K05851
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
安齊 洋次郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (20318299)
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研究分担者 |
福本 敦 東邦大学, 薬学部, 講師 (50516391)
飯坂 洋平 東邦大学, 薬学部, 助教 (40770425)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多機能型P450 |
研究実績の概要 |
2020年度は、2019年度に取得したMycG変異体の評価、並びにP450のレドックスパートナーであるferredoxin reductaseとferredoxinをMycGに融合させたMycG-FNR-Fd融合酵素、FNR-Fdタンパク質の変異導入を行った。2019年度に取得したMycG変異体は最終産物であるMycinamicin IIへの変換率が低下していた。MycG変異体のほとんどで複数個所のアミノ酸の置換が確認されたため、実際にMycGの活性に影響を与えるアミノ酸残基を特定し、各MycG変異体においてP450活性へ影響を与えるアミノ酸残基のみをもつ3つのMycG変異体を再構築した。これら3つのMycG変異体はいずれも、mycinamicin生合成中間体Mycinamicin IVを基質とした変換試験では、最終産物Mycinamicin IIまでの変換能が低下し、Mycinamicin IVのC-14水酸化体であるMycinamicin Vへの変換で留まっていたため、C12,13-エポキシ化の触媒能が低下していると推定された。そして、mycG欠損株M. griseorubida TPMA0025へのこれらMycG変異体遺伝子を導入したところ、いずれも、野生株に比べてMycinamicin IIの生産量は低下し、Mycinamicin Vの蓄積が確認され、変換試験と同様な結果となった。現在、これらMycG変異体の酵素学的評価を行うため、大腸菌による大量発現、精製を進めている。 MycG-FNR-Fd融合酵素ならびにFNR-Fdタンパク質への変異導入はMEGAWHOP法により行った。MycG-FNR-Fd融合酵素では変異を導入された各タンパク質が発現される大腸菌、FNR-Fdタンパク質ではMycGが共発現される大腸菌のライブラリーを構築し、現在、評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、計画していたMycG結晶構造解析により基質認識の関与が推定されたアミノ酸残基の変異を導入したMycG変異体に関する実験は着手してはいないが、ランダム変異により興味深い変異体が多数得られたため、現在、その評価を精力的に進めている。また、MycG-FNR-Fd融合酵素ならびにFNR-Fdタンパク質への変異導入については、現在のところ、興味深い変異体の取得には至っていないが、今後の進展に期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
C12,13-エポキシ化の触媒能が低下したMycG変異体については酵素学的評価を行う。また、FNR-Fdとの融合酵素を作成し、本研究の目的の1つであるP450--FNR-Fd融合酵素の有用性の検証を行う。MycG-FNR-Fd融合酵素ならびにFNR-Fdタンパク質の変異導入は継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的な実験を行ったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は2021年度の支給額と合わせて有効活用したい。 2021年度では、2020年度と同様に主として消耗品の購入に使用する。また、現在、論文の執筆中であり、英文校正費や論文投稿費に充てる。
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