本研究では、アフリカ等の地域で甚大な農業被害をもたらしている根寄生植物が宿主由来のストリゴラクトン(SL)分子と極めて高い感度で認識して発芽するメカニズムを解明することを目的とした。Striga hermonthicaにおいては、多数のSL受容体が同定されているが、そのうちの1つであるHTL7は他の受容体と比較しても突出して高いSL感受性を示す。一方で、どういった要因で高い感受性を示すのかは明らかとなっていない。本研究ではまず、S hermonthicaの近縁種であり、近年ゲノム解読がなされたS. asiaticaのSL受容体候補遺伝子について機能解析を行った。その結果、S asiaticaにおいても、ShHTL7と最も相同性の高い遺伝子産物が、高いSL感受性を示すことが明らかになった。さらに、同じハマウツボ科に属するOrobanche minorについても、SL受容体候補遺伝子の機能解析を行った。O. minorにおいては、受容体候補遺伝子が5つ存在していたが、そのうちの1つは、SLに対して非常に高い感受性を示し、さらにもう1つの遺伝子産物も、SL受容体としての機能を有することが明らかとなった。 続いて、ShHTL7、ならびにS asiaticaで見出された感受性の高いSL受容体の配列を、感受性は高くないながらも、HTL7と相同性が高いHTL8の配列と比較することにより、感受性に関与すると思われるアミノ酸残基を一つ選抜した。ShHTL7をもとに、該当のアミノ酸をHTL8型に変異した変異型受容体を作成し、その機能を解析したところ、感受性が低下する傾向がみられた。一方で、HTL8をもとに、HTL7型の変異を導入した場合には、感受性が増強することはなかった。よって、本アミノ酸が感受性に直接関与するか否かについては、明確な結論を得ることができなかった。
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