研究課題/領域番号 |
19K05859
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
喜田 達也 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (70641968)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | PETプローブ開発 / 高速メチル化反応 / 生物有機化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、PET (Positron emission tomography)イメージング技術を用いて、生命現象を観測するPETプローブを開発することを目的として研究を実施した。PETイメージング技術は生命現象を明らかにする先進的な技術であり、PETイメージング研究を強力に推進していくには有用なPETプローブを開発することが重要である。そこで、本研究においては、SREBP(sterol regulatory element-binding protein)を阻害する世界初の合成化合物であるfatostatinに着目した。本化合物は代謝疾患の研究や創薬研究に役立つと期待されている。本化合物のPETプローブ化を実現するために、必要となる有機スズ前駆体を合成し、当初の計画通り高速メチル化反応を用いて11C-標識化を検討することとした。放射性条件下において、PETプローブ合成を鋭意検討した結果、目的とする[11C]fatostatinの生成を確認することができた。11C-標識化の合成時間は合成と分離精製を含めて40分以内で完結し、88 MBqの放射能を有する目的物を得ることができた。本PETプローブの化学純度は80%、放射化学純度は99%であった。今後は動物投与を視野に入れて収量の改善するため種々の反応条件を検討していく。さらには精製条件を改善し化学純度の向上も検討する。また、本研究ではヒトすい臓がん細胞(MIA PaCa-2)の細胞増殖を抑制するJI051やJI130のPETプローブ開発にも着手した。今後の予定として、標識前駆体の合成および放射性条件下でのPETプローブ合成について最適な条件を探索していく計画である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画として、有機スズ前駆体を合成し、これを標識前駆体とすることで高速メチル化反応により[11C]fatostatinを合成する計画であった。計画通り、目的物の生成が確認できたが収量が少なかった。そのため、放射性条件下での11C-標識化について、反応温度、濃度および反応温度等の反応条件を最適化させる必要があった。そのため、進捗状況としては当初の計画よりやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の進捗状況としては、当初の計画通りにPET放射性条件下で実験を行い、目的物である[11C]fatostatinの生成を確認することが出来た。しかしながら、収量が少なかったため反応条件を精細に検討していく必要があった。今後の推進方策として放射性条件下で精細に反応条件の最適化を行い収量の改善を行っていく計画である。必要に応じて有機ホウ素化合物等の標識前駆体を用いてのPETプローブ化も検討することで、動物投与可能な放射能を有する[11C]fatostatinの合成を行っていく計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況が遅れているため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、放射性条件下での実験を行うための機器使用料および必要となる試薬等を購入する計画である。
|