研究課題
本研究では、Positron emission tomography (PET)イメージング技術を用いて、生命現象を観測するためのPETプローブを開発することを目的として研究を開始した。PETイメージング技術は生命現象を明らかにする先進的な技術であり、PETイメージング研究を推進していくには有用なPETプローブの開発が基盤となる。そこで、本研究においては、リード化合物としてSterol Regulatory Element-Binding Protein (SREBP)を阻害することが報告されているfatostatinに着目した。本化合物のPETプローブ化を実現するために、必要となる有機スズ前駆体を合成し、高速メチル化反応を用いて11C-標識化を検討することとした。放射性条件下において、PETプローブ合成を鋭意検討した結果、目的とする[11C]fatostatinの生成を確認することができた。動物投与を視野に入れて収量の改善を目的に種々の反応条件を検討した結果、生体投与可能な目的物が1.0 GBq程度合成することが可能となった。加えて、本研究では、ヒトすい臓がん細胞(MIA PaCa-2)の細胞増殖を抑制するJI051やJI130のPETプローブ開発にも着手した。放射性条件下での準備実験として、4,4'-ジメトキシカルコンの11C-標識化も実施した。[11C]4,4'-ジメトキシカルコンに関しては、3.0 GBqの放射能を有する目的物を合成することが出来た。このため必要な標識前駆体を準備することができれば、目的物を合成できる実験環境が整ったため、JI051やJI130の標識前駆体の合成に取り組んだ。しかしながら、JI051やJI130に関しては、種々検討したが、現時点で必要となる標識前駆体の合成が当初の計画通りには進まなかった。今後は合成経路を再考し、引き続き検討していく。
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RSC Medicinal Chemistry
巻: 13 ページ: 1197-1204
10.1039/d2md00158f