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2021 年度 実施状況報告書

食事誘導性肥満におけるGLP-1分泌増大機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05860
研究機関北海道大学

研究代表者

比良 徹  北海道大学, 農学研究院, 准教授 (10396301)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードGLP-1 / 食事誘導性肥満
研究実績の概要

これまでに、食事誘導性肥満モデルラットにおいて、食事刺激に対するGLP-1応答が高まることが示された。消化管ホルモンGLP-1は、食事刺激により消化管内分泌細胞から分泌され、インスリン分泌促進や食欲抑制などをもたらす。GLP-1は、主に下部小腸から大腸にて産生されるが、食後のGLP-1分泌応答にどの部位の寄与が大きいかは、正常時、肥満や耐糖能異常においても不明である。
食事誘導性肥満ラットにおいて、正常ラットに比べて増大する食後GLP-1応答が、小腸の上部と下部のどちらの寄与が大きいのかを調べることを目的とした試験を実施した。
Sprague Dawley 系雄性ラット5週齢に、普通食(コントロール群)または、高脂肪食とスクロース水(肥満群)を5週間自由摂取させた。麻酔下にて採血用のカテーテルを門脈に留置し、十二指腸内または回腸内に液体食(経腸栄養剤エンシュアH)を投与した。投与前後の門脈血を経時的に採取し、血漿中のGLP-1濃度を測定した。また、腸組織を採取し、部位別のGLP-1含量を測定した。
GLP-1分泌応答は、コントロール群、肥満群ともに上部に比べて下部の方が大きく、L細胞が小腸下部に多く存在するためと考えられた。上部投与では、肥満群の方がコントロール群よりもGLP-1分泌応答は低かったが、下部投与では投与後15分から肥満群の方がコントロール群よりも高い応答を示した。一方で、小腸上部、下部の組織中GLP-1含量は、コントロール群と肥満群の間に差は見られなかった。
これらの結果から、食事誘導性肥満におけるGLP-1分泌応答の増大には小腸下部の寄与が大きいが、それには組織中GLP-1含量は関与しないことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

正常ラット、食事誘導性肥満ラットにおいて、小腸部位別のGLP-1応答を観察することが可能となり、小腸下部におけるGLP-1分泌応答が食事誘導性肥満ラットにおいて高まることを示すことができたことより、おおむね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

組織レベルでのGLP-1含量、遺伝子発現に、普通食飼育ラット、食事誘導性肥満ラットの間に差異は見られなかったことから、GLP-1産生細胞レベルでの解析に着手する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染書の蔓延による研究活動の制限による。
GLP-1産生細胞での解析のための消耗品、ならびに学会参加費に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Improvement of Glucose Tolerance by Food Factors Having Glucagon-Like Peptide-1 Releasing Activity2021

    • 著者名/発表者名
      Hira Tohru、Trakooncharoenvit Aphichat、Taguchi Hayate、Hara Hiroshi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 6623~6623

    • DOI

      10.3390/ijms22126623

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Blood Sampling From Rat Ileal Mesenteric Vein Revealed a Major Role of Dietary Protein in Meal-Induced GLP-1 Response2021

    • 著者名/発表者名
      Hira Tohru、Sekishita Madoka、Hara Hiroshi
    • 雑誌名

      Frontiers in Endocrinology

      巻: 12 ページ: 1-8

    • DOI

      10.3389/fendo.2021.689685

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Acute Oral Calcium Suppresses Food Intake Through Enhanced Peptide-YY Secretion Mediated by the Calcium-Sensing Receptor in Rats2021

    • 著者名/発表者名
      Igarashi Akiho、Ogasawara Shono、Takagi Ryo、Okada Kazufumi、Ito Yoichi M、Hara Hiroshi、Hira Tohru
    • 雑誌名

      The Journal of Nutrition

      巻: 151 ページ: 1320~1328

    • DOI

      10.1093/jn/nxab013

    • 査読あり
  • [学会発表] ラットにおけるえごま油長期摂取は、食事刺激に対するGLP-1分泌応答および持続性を高める2021

    • 著者名/発表者名
      木村梨乃,佐野杏莉,比良徹
    • 学会等名
      令和3年度日本栄養・食糧学会 東北支部(第55回大会)・北海道支部(第51回大会)合同支部大会およびシンポジウム

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公開日: 2022-12-28  

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