研究課題
クルクミンのターゲットとして見出したGPR55およびGPR97の活性化機構について、引き続き検討を行った。様々なクルクミンアナログを用いて構造活性相関の検討を行った結果、GPR55およびGPR97ともに、クルクミンのヘプタジエン構造および少なくとも1つのメトキシ基が両受容体の活性化に重要であることが判明した。GPR97には、細胞外にGPCR proteolysis siteが存在して切断を受けるが、クルクミンによるGPR97の活性化には、このsiteの切断は関係しないことが明らかになった。最近GPR97は、グルココルチコイドの受容体として機能することが報告された。そこで、合成グルココルチコイドであるbeclomethasone dipropionateとクルクミンによるGPR55の活性化を比較した。その結果、クルクミンとbeclomethasone dipropionateは、異なった様式で協調的にGPR97を活性化することが示唆された。GPR55の活性化の生理的な意義に関する検討を行った。その結果、腸管L細胞において、クルクミンによる細胞内カルシウム濃度の上昇およびインクレチンホルモンであるglucagon-like peptide 1の分泌促進は、GPR55のアンタゴニストによって抑制されることを見出した。本研究期間を通じて、クルクミンが生理作用を発揮するための標的分子としてGPR55とGPR97を発見し、構造活性相関を明らかにした。さらに、GPR55については、クルクミンによるインクレチンホルモン促進作用を介した抗糖尿病作用に関与することが示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
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