研究課題/領域番号 |
19K05869
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
岩槻 健 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50332375)
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研究分担者 |
早津 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (80543058)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シングルセル / 味細胞 / RNA-Seq / げっ歯類 / 霊長類 |
研究実績の概要 |
本研究計画の2年目は、COVID-19感染対策のための緊急事態宣言により、研究活動が大きく制限された。予定では、サル味蕾およびサル味蕾オルガノイドを用いたシングルセルトランスクリプトーム解析を行うことになっていたが、サンプリングを行う予定であったサルの飼育施設への移動制限やサンプリングの回数が減ったことにより、一度もサンプリングすることができていない。従って、サル味蕾を用いた研究は実行不可能な状態となっている。本実験は、解剖した舌を必要とするため、サンプリングが不可能な状態が続けば苦しい状況となる。一方、令和元年度からの研究で、サル味蕾オルガノイドの作製には成功していたため、同細胞を用いてシングルセルトランスクリプトーム解析を行った。味蕾オルガノイドの細胞は簡単に凝集してしまうため、シングルセルトランスクリプトーム解析に供するには、何度か条件検討し細胞をシングルセル化する必要があった。少ない回数であるが、シングルセル化した細胞をトランスクリプトーム解析にかけ、現在発現遺伝子を解析している。解析途中ではあるが、サル味蕾オルガノイドには、成熟味細胞や幹細胞を含む細胞集団であることが確認されている。 霊長類の味蕾と比較するために、COVID-19の影響が少なかった、げっ歯類の味蕾も使ってシングルセル解析を進めている。これまでに、有郭乳頭からシングルセル化し、トランスクリプトーム解析に供し解析を続けている。現在までに、幹細胞から分化した味細胞までの分化系列が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染防止のため、大学はロックダウンに近い状態となった。学生の通学も半年にわたり制限されていたことと、サンプリングのための移動ができなかったことで、サンプルが入手できずサル味蕾のシングルセル解析を進めることができなかった。そのため、研究分担者は予算の繰越を行い、次年度に研究を持ち越す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年にあたるため、何としてもサルのサンプルを入手しシングルセル解析に供したい。その場合、解析途中のマウス舌の結果と照らし合わせ、マウスと霊長類の味蕾構成細胞の違いを明らかとしたい。マウスのシングルセル解析のデータは膨大であるが、これまでに知られていなかったマーカーの存在や分化系譜が明らかになりつつある。霊長類の味蕾細胞も同じように解析することで、マウスと霊長類の違いが明らかとなり、新しい受容体やシグナル分子の発見につながることが期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大のため、実験動物であるサルのサンプリングができず、サルのサンプルを起点にした研究が一時的にストップしたため、予算を全て使うことができず次年度使用額が生じた。令和3年度にCOVID-19の感染拡大が収まる、あるいは緊急事態宣言等が緩和されれば、サンプリングが可能になり実験を再開する予定である。
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