研究課題/領域番号 |
19K05874
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
木村 俊之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, ユニット長 (70355303)
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研究分担者 |
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
山岸 賢治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (80355304)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DNJ / 動態、吸収 / 安定同位体ラベル化 |
研究実績の概要 |
アザ糖である1-デオキシノジリマイシン(DNJ)は桑葉や大豆発酵食品などに含まれ消化管でαグルコシダーゼ阻害を示すことにより、食後の血糖値上昇を抑制する。DNJを機能性食材として展開するためには科学的な安全性の検証が必要である。 本年度は、これまでの試験で使用した安定同位体ラベル化DNJの純度が82%程度であったことからマスバランス、組織蓄積の評価に夾雑物由来の15N由来の疑問が解決できない問題が払拭できないことから安定同位体ラベル化DNJを95%程度まで高純度化を進め、大量精製を行った。 また、長期摂取試験を行うにあたり、投与量によるDNJの吸収率を判断する必要があることからDNJの有効投与量とその吸収率を調査した。7週齢のSDラットを4群に分け(雄性、n=6)を12時間絶食後、水および15Nラベル化DNJ水溶液(2, 10, 100 mg/kg b.w.)をゾンデ投与したのち、0-5時間、5-10時間、10-24時間、24-48時間、48-72時間の尿、0-24時間、24-48時間、48-72時間のフンを採取した後、屠殺し、肝臓、腎臓、胃、小腸、大腸、膵臓、脾臓、肺、心臓、脳、精巣、精巣周囲脂肪、腎臓周囲脂肪、腸間脂肪、血球、血漿、と体を採取した。得られたフン、尿、各種臓器は全窒素定量の後、15N/14Nの比を測定し、15Nの回収率を求めた。結果については、現在とりまとめている。 さらに、体内に取り込まれたDNJの代謝物測定を検討するために、ヒト肝癌由来細胞株Hep G2細胞を用いて、培地中に15Nラベル化DNJを終濃度60mMになるように添加し、48時間後に細胞を回収したのち、細胞破砕し、陽イオン交換固相抽出にて部分精製し15N化合物を回収し、現在Orbitrap MSによる解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで使用してきたラベル化DNJの精製度が低かった事もあり、さらに精製度を高めたラベル化DNJの量産を行ったことから、当初計画より試験負担が多くなったが、目的である長期試験の組織蓄積解明に向けての、投与量による吸収率解明、代謝物解析を行い、次年度の長期試験が実施できる状況となっている。このため、研究計画に支障はないと判断し、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画に則り、高純度ラベル化DNJの精製を行う。適正投与量による3ヶ月の長期投与試験を行い、組織へのDNJの蓄積を解明する。また、細胞試験によるDNJのDNJ代謝物の解明を引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を適正に使用した結果、見積もり額よりも納入価格が安くなったため。安定同位体窒素分析にかかる試薬、消耗品の購入に使用する。
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