科研費で購入した微量迅速粘度計には測定値の誤差が大きいことが判明したため,代替する方法を急遽考えた。6本掛け用粘度測定用恒温水槽を用いた方法を適用して5本のサンプルをほぼ同時に測定するシステムを考案したが,試料に要する容量は微量迅速粘度計に用いる容量と比べて10倍以上多いので問題であるものの,現在のところキャピラリー粘度計を用いて動粘度を測定する方法が一番精度が高いと判断された。ただ,これまでは,1本のキャピラリー粘度計ですべての試料溶液の粘度を測定してきていたため,測定値のバラツキは小さかったが,キャピラリー粘度計間のバラツキを代替法では考慮しなくてはいけなくなった。 水和パラメータhは,粘度B係数と部分モル体積V2の関数であり,粘度B係数に大きく依存するが,V2値のバラツキは小さく,粘度B係数のバラツキは大きい。このことは,糖や糖アルコールのすべての分子種にいえることが示された。また,五炭糖やその誘導体である糖アルコールのパラメータhは,六炭糖やその誘導体のパラメータhよりも小さかった。それぞれのV2値は,糖アルコールほうがその糖アルコールと関連する糖のそれよりも大きいことが示された。一方,パラメータhと溶質のモル分率と水分活性との関係式から求められるパラメータαをアルコール,尿素,ホルムアミドを含めた分子種のそれらの関係と同時に糖や糖アルコールの結果をプロットしたところ,極めて高い決定係数をもってパラメータhとパラメータαの回帰直線に近似できた。
|