従来の研究はすでに光増感物質から発生した一重項酸素の消去に有効な抗酸化物質の開拓が中心に行われてきた。一重項酸素は体内で発生すれば,その高い酸化力により直ちに酸化反応が進行し,細胞の損傷といったダメージを引き起こす。このため,生体内物質が一重項酸素の光増感剤として作用した場合,生成した一重項酸素を速やかに消去するとともに,一重項酸素の発生そのものを抑制することが重要である。生体中および食品中の光増感作用による一重項酸素の発生そのものを抑制することは,一重項酸素による脂質酸化反応の抑制を可能にし,脂質酸化物による生体毒性の低減や心疾患予防といった重要な課題を解決につながる。
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