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2019 年度 実施状況報告書

シークヮーサー葉・果皮によるI型アレルギー抑制機構の解明とその有効活用法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K05880
研究機関愛媛大学

研究代表者

岡本 威明  愛媛大学, 教育学部, 准教授 (20398431)

研究分担者 菅原 卓也  愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00263963)
田中 守  中部大学, 応用生物学部, 講師 (00612350)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードシークヮーサー / 果皮・葉抽出物 / ノビレチン / リン酸化制御 / 脱顆粒シグナリング
研究実績の概要

RBL-2H3細胞においてシークヮーサー果皮・葉抽出物はPI3K p85/p55のリン酸化誘導を有意に下方制御した.またシークヮーサー果皮・葉抽出物は,AktおよびPLCγ1のリン酸化誘導を下方制御する傾向がみられ,特にシークヮーサー葉抽出物はPLCγ1のリン酸化誘導を有意に下方制御した.これらのことから,シークヮーサー果皮・葉抽出物は脱顆粒シグナリングにおけるCa2+依存経路とCa2+非依存経路の両方を阻害することで,脱顆粒を抑制していることが示唆された.一方で,シークヮーサー果皮・葉抽出物はSykおよびPLCγ2のリン酸化誘導を下方制御しなかった。このことから,シークヮーサー果皮・葉抽出物はSykより下流のシグナルに影響を与えていることが推察された.
先行研究により,ノビレチンはPI3K p55/p85およびAkt,PLCγ1のリン酸化誘導を下方制御し,SykおよびPLCγ2のリン酸化誘導に影響を与えないことが明らかとなっており ,シークヮーサー果皮・葉抽出物による脱顆粒シグナリング制御機構は,ノビレチンによるものと似た挙動を示していた.
シークヮーサー葉抽出物ならびにノビレチン刺激におけるp-PLCγ1およびp-Akt発現において,シークヮーサー葉抽出物刺激群の方がノビレチン刺激群よりも減弱していた.本実験で作用させたノビレチンのモル濃度は50uMであったが,シークヮーサー葉抽出物(終濃度250ug/mL)中に含まれるノビレチンのモル濃度は11.2uM,タンゲレチンのモル濃度は10.1uMと推定された.これらの結果をもとに,シークヮーサー葉抽出物がノビレチンよりも強く脱顆粒シグナリングに影響を与えた要因を考察すると,シークヮーサー葉抽出物に含まれるノビレチンとタンゲレチンによる相加効果が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年2月までは、順調に実験が遂行出来ていたが、3月より5月にかけて、新型コロナウイルスの影響により、大学の実験室への立ち入りが規制されたため、実験が進められていない。

今後の研究の推進方策

シークヮーサー果皮・葉抽出物における脱顆粒シグナリング制御機構の解明により,シークヮーサー果皮・葉抽出物はSykのリン酸化誘導に影響を与えないことが明らかになったことから,シークヮーサー果皮・葉との機能性フードペアリングを検討するために,Sykのリン酸化誘導を下方制御する食品との組み合わせがよいと考えられる.また,シークヮーサー果皮・葉抽出物はPLCγ1のリン酸化誘導を下方制御する一方で,PLCγ2に影響を与えなかった.これらの結果より,PLCγ2のリン酸化誘導を下方制御する食品を組み合わせることで,より強い脱顆粒抑制効果をもたらすことができるのではないかと推察される,シークヮーサー果皮・葉抽出物と組み合わせることで,抗アレルギー効果の相加・相乗効果を発揮することのできる食品としては,SykとPLCγ2のリン酸化誘導を下方制御するbeta-ラクトグロブリンやホウレンソウなどが挙げられる.よって今後は,シークヮーサー果皮・葉を用いた料理や食品開発を行う上で,シークヮーサー果皮・葉抽出物と抗アレルギー効果の相加・相乗効果が期待できる他食品との組み合わせによる脱顆粒シグナリング制御機構を解明していくことが必要であろう.
また、果皮パウダーを用いた食品の考案を進める中で,果皮パウダー特有の苦味・えぐみの緩和が最大の難点であった.果皮に比べ,シークヮーサー葉は果皮に比べ苦味が少なく,パウダー化の際にも種が入ることもないため,えぐみも果皮パウダーほど感じられない.しかし,搾汁残渣という廃棄物の直接的な削減にはつながらず,葉の採取段階から人件費などのコストが発生する.よって,今後はシークヮーサー葉などの材料供給の問題点や,年齢・性別による食品の趣向の系統などを調査しつつ,シークヮーサー葉・果皮パウダーの効果的な活用法について,さらなる検討を加えていきたい。

次年度使用額が生じた理由

シークヮーサー葉パウダーの作成において、使用機器にトラブルがあり、予定通り遂行出来なかったため、研究費の一部に次年度使用額が生じた。
新型コロナウイルスの影響が落ち着き次第、沖縄県でのシークヮーサー葉パウダー作成経費として使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] シークヮーサー果皮および葉抽出物による脱顆粒シグナリング制御の解明2019

    • 著者名/発表者名
      岡本威明,柏木愛梨,田中守
    • 学会等名
      日本家政学会 第71回大会
  • [学会発表] シークヮーサー果皮・葉抽出物のI型アレルギー抑制機構の解明およびその有効活用法の検討2019

    • 著者名/発表者名
      岡本威明
    • 学会等名
      第1回東洋食品研究所研究成果発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] シークヮーサー葉・果皮抽出物による抗アレルギー効果2019

    • 著者名/発表者名
      岡本威明,柏木愛梨,田中守
    • 学会等名
      第3回ノビレチン研究会
  • [学会発表] 香酸柑橘葉の抗アレルギー活性とその活用法の提案2019

    • 著者名/発表者名
      岡本威明
    • 学会等名
      第8回あしなが予防医学研究会

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公開日: 2021-01-27  

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