研究課題/領域番号 |
19K05880
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡本 威明 愛媛大学, 教育学部, 教授 (20398431)
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研究分担者 |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00263963)
田中 守 中部大学, 応用生物学部, 講師 (00612350)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シークヮーサー葉 / シークヮーサー果皮 / ノビレチン / ラクトフェリン / 脱顆粒抑制 / Aktのリン酸化 / ペアリング / RBL-2H3細胞 |
研究実績の概要 |
これまでにシークヮーサー葉・果皮メタノール抽出物に強いアレルギー抑制効果があることを明らかにしてきた。また、その抑制効果は、同時摂取する食品成分によって調節される可能性があることから、他の食品成分との組み合わせに関する知見が必要となる。そこで、今回、シークヮーサー葉・果皮に多く含まれるポリメトキシフラボノイド(PMF)および乳タンパク質との複合による抗アレルギー効果とその抑制機構の解明を目的とした。 実験方法は、PMFであるノビレチン(NOB)、タンゲレチン(TNG)、シネンセチン(SNT)および乳タンパク質であるラクトフェリン(LF)、beta-ラクトグロブリン(beta-LG)をラット好塩基球様細胞株RBL-2H3に作用させ、beta-hexosaminidaseを指標とした脱顆粒抑制試験を行った。PMF群および乳タンパク質群のうち、それぞれ最も強い脱顆粒抑制効果がみられた2つの因子の共刺激による脱顆粒抑制試験、また、その作用機序を細胞内Ca2+濃度測定ならびにWestern Blot法により検討した。 その結果、PMFおよび乳タンパク質単独の脱顆粒抑制試験では、PMF群ではNOB、乳タンパク質群ではLFが最も強く抑制した。次に、NOBおよびLFを用いて共刺激を行ったところ、NOB単独およびLF単独刺激より強い相乗的な脱顆粒抑制効果を示した。抗原刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇は、NOB単独およびLFとの共刺激で抑制され、LF単独では抑制されなかった。Western Blot分析の結果、NOBとLFの共刺激は、Aktのリン酸化誘導を有意に下方制御した。よって、RBL-2H3細胞における脱顆粒応答はNOBとLFの共刺激によりカルシウムイオン依存的な経路と非依存的な経路の双方に作用することで相乗的に抑制することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年4月~2022年1月まで、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大学の実験室への立ち入りが一部規制されたため、実験が予定通り進められなかった。そのため、研究期間を1年延長することにした。2022年度は、今までの遅れをとりもどしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後、シークヮーサー搾汁残渣などの有効活用法の検討を中心に実施していきたい。具体的には、①搾汁残渣を乾燥させ微粉末化させ、それを食品や調味料へと応用していく ② シークヮーサー搾汁残渣から精油を取り出し、アロマや食品への香りつけへの応用を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で研究活動が制限され、また対面での研究打ち合わせ(県外出張)等が不可能であったことから次年度使用額が生じた。引き続き研究活動に研究経費を活用とするとともに、研究成果の報告にも効果的に使用していきたい。
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