研究課題
基盤研究(C)
腸内に生息する乳酸菌は、独自の経路を介して食事由来の多価不飽和脂肪酸を飽和化し、その過程において宿主の代謝とは異なる中間体を生成する。本研究では、その中間体の中でもエノン脂肪酸と呼ばれる脂質が免疫抑制作用を有することを細胞レベルの実験で見出した。加えて、自己免疫疾患のモデルマウスにエノン脂肪酸を摂取させると病気の発症が抑制されたことから、生体レベルでもエノン脂肪酸の免疫抑制作用を示すことに成功した。
食品免疫学
生活習慣病予防の観点から脂質の摂取は極力控える方が良いとされてきたが、最近の研究の進展により、脂質の中にも「良い脂質」と「悪い脂質」があることが報告されてきており、一概に忌避すべきものではないとの見方が広がっている。本研究が示したように、不飽和脂肪酸の乳酸菌代謝物には免疫疾患を予防する効果があることから、脂質の摂取とともに乳酸菌を摂取することで「より良い脂質」が腸内で生成されることが明らかとなり、食生活に新たな概念をもたらす研究成果となった。