2021年度は市販が始まり,今後の米タンパク質の機能性研究の中心となることが期待されるデンプン分解米胚乳タンパク質(SD-REP)を用いることとした。このSD-REPは初年度の検討で使用したアルカリ抽出米胚乳タンパク質(AE-REP)と比較して,一部タンパク質の消化性が大きく低下するという特徴を持っており,レジスタントプロテインとしての機能も期待できる。そこで本年度の研究では,SD-REPの摂取が肥満に与える影響について食事誘導肥満モデルマウスを用いて明らかにすることを目的とした。 供試動物として6週齢の雄性C57BL/6マウスを用い,10週間の飼養試験を行った、試験飼料は肥満誘導を目的とし,カゼインあるいはSD-REPをタンパク質源とした高脂肪高ショ糖飼料(脂質含量30%,ショ糖含量20%)を用いた。試験群として高脂肪高ショ糖カゼイン(HC)群,高脂肪高ショ糖SD-REP(HR)群,標準カゼイン(NC)群の3群を設定した。試験終了時には血液,臓器(腎周囲脂肪,精巣上体脂肪,腸間膜脂肪,肝臓,腎臓)を回収し,各種測定に供した。 HC群と比較してHR群では試験開始2週目より有意に体重の増加が抑制されることが示され,SD-REPが非常に強力な体重増加抑制作用を有していることが明らかとなった。また脂肪重量も体重と同様にHR群で有意な抑制がみられ,SD-REPが抗肥満作用を有していることが明らかとなった。 以上,3年間の本研究の結果より,米糠タンパク質(RBP)およびSD-REPが強力な抗肥満作用を有していることが明らかとなり,さらにRBPの抗肥満作用は糞中脂質排泄促進作用を介している可能性が示された。またRBPの抗肥満作用はアミノ酸組成だけでなく,消化の過程で生成するペプチドに由来する可能性が示された。
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