発育期(胎児期から乳幼児期)の恒常性の変化と、成長後の神経可塑性異常の関連が示唆されている。本研究では、発育期の環境変化に特に脆弱な抑制性介在ニューロンにおける、脂質代謝異常と神経可塑性変化の関連性を検証するため、脂肪酸代謝制御に重要な役割を果たす脂肪酸結合蛋白質(FABP)に着目した。 本年度の研究では、発育期の環境変化の影響を特に強く受けることが知られている、前帯状皮質の抑制性介在ニューロンに特異的に発現している、FABP3の遺伝子欠損(KO)マウスを用いた検証を行い、以下の結果を得た。 1.生後14日齢FABP3KOマウスの前帯状皮質を含む内側前頭前野から単離した、初代培養神経を培養7日目に解析したところ、野生型と比較して、神経突起の伸長異常を確認した。 2.1.で用いた初代培養神経細胞に、GABA作動性抑制性ニューロン特異的にGFPを発現するAAVベクターを導入し、抑制性シナプスの形成を観察したところ、野生型と比較して、抑制性シナプスの形成異常を確認した。
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