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2019 年度 実施状況報告書

ビタミンCがヒト表皮の遺伝子発現に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05902
研究機関北陸大学

研究代表者

佐藤 安訓  北陸大学, 薬学部, 講師 (40582367)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードビタミンC / 表皮 / エピジェネティクス
研究実績の概要

ビタミンCは抗酸化やコラーゲン重合など従来の作用に加えて、エピジェネティクスを介した遺伝子発現調節という新たな生理作用を持つことがわかってきた。エピジェネティクスとはDNAメチル化に代表される塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現制御機構である。代表的機構であるDNAメチル化について、DNAがメチル化されると転写因子が結合できず遺伝子発現が抑制されるが、脱メチル化で発現が回復する。このDNAメチル化と脱メチル化による遺伝子制御機構は、細胞の分化や初期化、癌の発症などに重要な役割を果たす。ビタミンCは、DNA脱メチル化酵素Tetの補酵素として機能する。しかし、今までのビタミンCの遺伝子発現に関する知見は、ES細胞や癌など組織が限定しており正常組織では未解明という問題点がある。また、二万以上の遺伝子群のうち特定の遺伝子しか解析されていない。この現在未解明の問題である正常組織でのエピジェネティクスを介した遺伝子発現を解明するために、これまでの申請者の経験を生かせる表皮にて本研究計画を立案した。
ヒト表皮三次元培養モデルにビタミンCを投与して、エピジェネティクスの代表的機構であるDNAメチル化変化をゲノム全体で解析した。その結果、DNAメチル化状態はビタミンCによって大きく変化することがわかった。また組織学的にも明らかな変化が認められるなど表現型としても変化していることが確認できた。またビタミンCとしてナトリウム塩を用いたためナトリウムによる影響を評価した。その結果、ナトリウム単独での変化は認められなかった。すなわち、ビタミンCは正常組織においてもエピジェネティクスを介した遺伝子発現を担っていることが強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、申請書に記載した研究計画に基づきビタミンCによるゲノム全体でのDNAメチル化変化や組織学的変化を解析することができた。しかし、研究を進めていくうえでpHの影響を除外するためにビタミンCのナトリウム塩を用いた結果、高濃度のナトリウムによる浸透圧がDNAメチル化変化や組織学的変化に影響を及ぼす可能性が考えられた。そこでナトリウム単独でも同様の実験を実施した。結果としてナトリウムは影響を及ぼさないことがわかったが、その結果を得るために当初計画の二倍の研究実施を余儀なくされた。一方で、ビタミンCは遺伝子発現を制御している可能性が強く示唆された。今後はナトリウムの影響除外に費やした時間をビタミンCそのものに充当することで研究の飛躍的な進展を起こすべく引き続き取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

引き続きビタミンCの新たな生理作用であるエピジェネティクスを介した遺伝子発現変化を明らかにしていく予定である。具体的にはDNAメチル化変化の検証実験を行いつつ、マイクロアレイおよび次世代シーケンサーを用いることでビタミンCによる遺伝子発現の変化を塩基配列と発現量という両面から明らかにする。また今年度製薬企業と協力することができたことで様々な知見を得られるようになった。今後、研究協力者、企業、学生と共同して研究実施や打ち合わせなどを行い、研究成果を着実に挙げていきたい。

次年度使用額が生じた理由

今年度、当初予定してなかった影響を評価する時間および費用を必要としたため次年度使用額が発生した。次年度は当初の実験計画および今後の研究の推進方策に基づき研究を遂行して成果を着実にあげていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒト三次元培養表皮モデルに及ぼすアスコルビン酸の影響2020

    • 著者名/発表者名
      幸地真吾, 佐藤安訓, 木村駿, 高木恭子, 石井強, 木村敏行, 石神昭人
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第131回例会

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公開日: 2021-01-27  

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