研究課題
プラズマベースイオン注入(PBII)法に複合ガスを用いた食品殺菌技術の開発に向けて、混合ガスを用いた際の最適なプラズマ制御法の検討及び最適条件の検討及び食品の表面処理技術の開発に向けて検討を行った。その結果、PBII処理にステンレスシャーレを用いた場合は、ガラスシャーレを用いる場合よりも高電圧が印加される時間が長くなり、結果的にイオンエネルギーが増加するため、ステンレスシャーレを用いた方が芽胞に対するダメージを大きくすることが出来、殺菌効果を上昇させる事が出来るということが分かった。また、印加電圧を上昇させると、ステンレスシャーレとガラスシャーレの殺菌効果の差が小さくなり、また、イオン密度の差も小さくなることが確認出来た。これは、誘電体であるガラスシャーレの場合、印加電圧を上昇させた場合、気相中のプラズマ密度が上昇し、誘電体表面に照射するイオンが増加し、伝導率が増加し、結果として誘電体の抵抗率が減少する絶縁破壊が起こっているのではないかと予想された。これらの知見と、シミュレーションの結果から、PBII処理に用いるガスの種類について検討を行い、水を電気分解させて発生させるHHOガスを用いてPBII処理を行う事とした。その結果、窒素ガスや酸素ガスよりもHHOガスの方が優れた殺菌効果を示す事が確認出来た。その差は、-2kVのような低印可電圧ではより顕著であった。次に、キャベツや豚バラ肉のような食品素材に対してPBII処理を行い、食品表面に細かな穴を空けることが出来た。また、PBII処理そのものでは、食材中のビタミンC含量には影響が出ない事が確認出来た。これらの結果は、PBII処理された食材に対して、調味液や酵素液の浸透性を向上させることが出来る可能性を示しており、PBII処理装置を食品加工装置として利用できる可能性を確認出来た。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
ELECTROTECHNICA & ELECTRONICA
巻: 57 ページ: 41-45
巻: 57 ページ: 46-50