研究課題/領域番号 |
19K05904
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
松井 敦聡 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (60309698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エタノール / BDNF / TrkB / 抗うつ作用 |
研究実績の概要 |
研究計画に沿った通りの進捗とはならず、遅れている状況である。 酒類に含まれるエタノールは、最古の中枢神経系薬物とも言えるが、作用機序についてはいまだ不明な点がある。本研究では、エタノールの作用機序に関わる新たな分子として脳由来神経栄養因子(BDNF)受容体であるTrkBに着眼し、その制御機構と機能を明らかにすることを目的とする。TrkBは神経成熟と機能発現に必須の分子であり、様々な疾患との関わりも注目されている。成体脳におけるエタノールによるTrkBの活性化は、適量の飲酒がうつ病やアルツハイマー病のリスクを軽減するという、酒類の健康増進効果の科学的なエビデンスとなる可能性がある。また、幼若脳におけるTrkBの抑制は、胎児性アルコール症候群における神経発達障害に関与する可能性がある。そこで、本研究では、実験動物と培養神経細胞を用いた検討により、エタノールによるTrkB活性制御機構と機能を明らかにする。 2019年度は、エタノールによるマウス脳TrkB活性への影響の用量依存性・時間的特性について検討し、エタノールの即時性抗うつ作用について、うつマウスモデルを用いた行動実験により検討する予定であったが、研究代表者が所属機関を異動し、異動先機関での動物実験施設が稼働していなかったため、動物実験を行うことができなかった。そのため、本年度は、研究環境の整備と実験計画の修正を行った。本年度末に研究設備が整ったため、今後、遅れを取り戻すべく研究を推進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間初年度である2019年4月に研究代表者が所属機関を異動した。現所属機関への異動時には、研究施設、動物実験施設が完成していなかったため、研究環境の整備に長期間を要し、計画通りに実験を開始することができなかった。このような状況を鑑み進捗状況は「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究に遅れが生じているが、2020年4月より所属研究機関の動物実験施設が稼働し、本課題を遂行するために必要な研究設備、研究体制が整ったため、今後は計画通りに研究を推進できるものと考えている。異動により教育エフォートが減少したので、本課題研究へのエフォートを増やし、遅れを取り戻すべく研究を加速させていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年4月に研究代表者が所属機関を異動した。異動当初、研究の遂行に必要な動物実験施設が完成していなかったため、動物実験が行えず、実験動物の購入費等が不要となった。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、参加予定となっていた学会が中止されたため、旅費が不要となった。遂行できなかった動物実験は、次年度に行うため、2019度の未使用分を2020年度に繰り越して使用する。
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