多発性硬化症(MS)は未だ根本的治療法が確立されていない自己免疫疾患である。近年、アジアなどを中心に世界的に患者数が増加しており、効果的な予防・治療法の確立が求められている。これまでにMS患者の腸内細菌叢解析やマウスを用いた研究から、腸内細菌叢がMSの発症・重篤化において重要な役割を果たすことが明らかになってきた。本研究では、MS患者の腸内環境をマウスで再現することに成功し、さらにそのマウスがより重篤な症状を呈することを明らかにした。また、この重篤化には食物繊維摂取量が大きく影響し、その作用機序の詳細に迫ることができた。本研究は食事によるMS予防法確立に向けた基盤の構築に繋がると考えられる。
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