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2021 年度 実績報告書

ケミカルストレスを引き金とする食品機能性成分の新規作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K05913
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

村上 明  兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10271412)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードカテキン / エピガロカテキンガレート / 脂肪分解 / ストレス / 適応応答 / ATP / ファイトケミカル / 作用メカニズム
研究実績の概要

ケミカルストレスが介在するファイトケミカルの作用機構として、茶カテキンの主成分である(-)-epigallocatechin-3-gallate(EGCG)の中性脂肪(TG)分解機構について解析した。コンフルエント状態で継続培養することでTGを蓄積させた分化ヒト肝臓細胞Huh7にEGCGを添加すると濃度および時間依存的なTG分解作用を示した。次いで、EGCGがHuh7において酸化ストレスおよびタンパク質ストレスを誘導することを見出した。また、EGCG処理により、抗酸化酵素(HO-1およびNQO-1)、解毒酵素(SULT1A1、UGT1A1およびCOMT)や分子シャペロン(HSP90α)の顕著なmRNA誘導が起こり、適応応答が起こることを確認した。さらに、EGCG添加後に培地中グルコース濃度の低下、細胞内へのグルコースの取り込み量の増加、さらには細胞内ATPレベルの低下が観察されたことから、EGCGのケミカルストレスに対抗するための防御機構の活性化が細胞内外のエネルギー消費を促している可能性が強く示唆された。さらに興味深いことに、いったん低下した細胞内ATPレベルはその後、コントロールよりオ高いレベルに回復した。これはTGの分解によってATPが新たに供給されたことを示唆した。また、EGGC添加によりAMP依存性キナーゼ(AMPK)の活性化が確認できた。以上から、EGCGによるTG分解作用は、そのケミカルストレスに対する適応応答の結果であることが強く示唆された。これまで緑茶あるいは緑茶カテキンの抗肥満作用やTG分解作用がヒト、実験動物、あるいは培養細胞で報告されてきたが、本研究のようにケミカルストレスの観点からのメカニズムの提唱は初めてである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Novel mechanisms underlying bioactivities of polyphenols via hormesis2022

    • 著者名/発表者名
      Akira Murakami
    • 雑誌名

      Current Opinions in Toxicology

      巻: 30 ページ: 100337

    • DOI

      10.1016/j.cotox.2022.02.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポリフェノールはなぜ効くか?2022

    • 著者名/発表者名
      村上 明
    • 雑誌名

      日本調理科学会誌

      巻: 55 ページ: 54-56

    • DOI

      10.11402/cookeryscience.55.54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] (-)-Epigallocatechin-3-O-gallate at a high concentration may induce lipolysis via ATP consumption by activation of stress defense mechanisms2021

    • 著者名/発表者名
      Satoki Suihara, Akari Ishisaka, Akira Murakami
    • 雑誌名

      Bioscience Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 85 ページ: 411-420

    • DOI

      10.1093/bbb/zbaa056

    • 査読あり
  • [学会発表] Novel mechanisms underlying bioactivities of polyphenols via hormesis2022

    • 著者名/発表者名
      Akira Murakami
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度大会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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