研究課題/領域番号 |
19K05926
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
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研究分担者 |
長谷川 雄一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00251059)
加藤 秀之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00813643)
北村 豊 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20246672)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 納豆 / ビタミンK / ワーファリン / MK-7 |
研究実績の概要 |
国内患者200万人以上が内服する抗凝固薬ワーファリンは、ビタミンKに拮抗してビタミンK依存性凝固因子の肝臓での合成を阻害する。一方、納豆は納豆菌が産生する多量のビタミンKを含有するため、ワーファリン内服患者では納豆は一般に禁じられている。しかしながら、納豆を食べたいと望む患者の声は強く、ワーファリンの薬理作用に干渉しない納豆が開発されれば画期的である。本研究では、当研究グループが8年余り独自に開発を進めてきた納豆のビタミンK低減化技術に基づき、ワーファリン内服患者が食べられる機能性食品、『低ビタミンK納豆』」を世に送り出すための食品機能評価およびワーファリン内服患者による臨床試験を実施した。 MK-7低生産菌と独自製法によりMK-7含有量を従来比23%まで低減し得たが、開発する食品の最終スペックとして、①既存納豆と遜色のない食味を有し、②曳糸性が十分保持され、③賞味期間を通じてMK-7含有量が緑黄色野菜並みであることが必要となる。そこで順次被験食品の機能性・官能性試験を実施した。満足の行く官能性試験結果が得られたので、その後健常者およびワーファリン内服患者によるMK-7低減化納豆摂食多段階臨床試験を実施した。毎夕食時10gを連続14日間摂食、3週間以上のwash outを挟んで20gを連続14日間摂食し、これを1クールとした。連続摂食前後でPT-INRと血中MK-7の有意な変化がないことを確認したので、今後、第2クール(30g→40g)へと進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発する食品の最終スペックとして、①既存納豆と遜色のない食味を有し、②曳糸性が十分保持され、③賞味期間を通じてMK-7含有量が緑黄色野菜並みであることが必要であり、現在までにそのスペックの検証と、食品としての信頼性担保のための被験食品の機能性・官能性試験をおおむね予定通り実施した。さらにその結果を踏まえて『低ビタミンK納豆』の市販化を見据えたワーファリン内服患者による多段階臨床試験を順調に実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本臨床研究課題は食品工学・栄養科学・臨床医学の叡智を集めて食卓への納豆復活を望む患者の声に応えんとするものである。ビタミンK低減化納豆の製品化は医療現場の固定観念や常識を覆すのみならず、患者およびその家族の日常食や病院食への浸透は一定の経済波及効果をもたらすものと推定される。全国200万人余のワーファリン内服患者にとって大きな福音となり、伝統食文化を守るという強いメッセージ性をも含む。納豆の特産地である茨城県発のプロジェクトとして、茨城県の研究者が“納豆への情熱”をアピールすることは、地産地消を広め、県の魅力を発信することにもつながる。試験食品の臨床研究を経て、特定機能食品としての市販化を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度後半からCOVID対応がはじまり、臨床試験を実施する体制に不足が生じてきた。計画通りの被検者や分析用の試薬、消耗品等の確保が困難となり、一時研究活動を休止して研究費の一部を次年度使用とせざるを得なくなった。健常者およびワーファリン内服患者によるMK-7低減化納豆摂食多段階臨床試験の継続のために次年度に使用し、主に第2クールすなわち低減化納豆30gおよび40gの摂食試験および分析に持ち越し経費を充当する計画である。
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