研究課題/領域番号 |
19K05931
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坂尾 こず枝 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (40713285)
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研究分担者 |
侯 徳興 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (90305160)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フラボノイド / アセチル誘導体 / 転移予防効果 |
研究実績の概要 |
がん細胞の遊走・浸潤・拡散の進行は、がん転移の指標の一つとなっている。そこで、ヒト由来乳がん細胞(MDA-MD-231ならびにMCF-7)を用い、14種のフラボノイドとアセチル誘導体におけるがん細胞の遊走抑制効果を創傷治癒アッセイ (wound-healing assay)で、浸潤能抑制効果をtranswell invasion assayで、拡散阻害効果をcell viability assay でそれぞれ測定し、いずれのフラボノイドまたは誘導体が、高いがん転移の抑制効果を有するかを評価・選出した。その結果、がんの転移・浸潤の抑制効果がすでに報告されているケルセチンと同等もしくはそれ以上に転移抑制効果を示す可能性が高いフラボノイドとしてアピゲニンならびにケンフェロールを選出することが出来た。同時に、フラボノイドの種類によって、アセチル修飾することで、オリジナルのフラボノイドより抗転移効果が増加するものと減少するものに分類されることが示唆された。このことから、本研究のテーマである、「フラボノイド類の乳がん転移予防効果を最大限に活かす」ための条件の一つとして、フラボノイドの種類に合わせて、アセチル修飾の有無を検討するとより効果的であることを提示しうる結果を得られた。また、ケルセチンより強い抗浸潤効果を示したケルセチンのアセチル誘導体においては、メンブラン抗体アレイを行い、55種類のヒト血管新生関連因子に対する抑制効果を網羅的に検出した。その結果、アセチル化ケルセチンは Leptin の減少、 Endostatin の増加をはじめとする血管新生関連タンパク質の発現に変化をもたらすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において遂行予定であった各フラボノイドのアセチル誘導体の合成を行い、それら14種のサンプルのがん遊走・浸潤・拡散の抑制効果のスクリーニングを完了し、がんの転移・浸潤の抑制効果がすでに報告されているケルセチンと同等もしくはそれ以上に転移抑制効果を示す可能性が高いフラボノイド類の選出をすることが出来た。同時に、フラボノイドの種類によって、アセチル修飾することで、オリジナルのフラボノイドより抗転移効果が増加するものと減少するものに分類されることが明らかになった。また、ケルセチンより強い抗浸潤効果を示したケルセチンのアセチル誘導体においては、メンブラン抗体アレイを行い、55種類のヒト血管新生関連因子に対する抑制効果を網羅的に検出した。その結果、アセチル化ケルセチンは Leptin の減少、 Endostatin の増加をはじめとする血管新生関連タンパク質の発現に変化をもたらすことが明らかになった。 以上のように、計画通りに研究が進行しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スクリーニングで選出したサンプルを用いて、より詳細の転移抑制のメカニズムを解明するために、がん細胞転移の重要なプロセスの一つである上皮から間葉への移行(EMT)の活性化の抑制への関与を、ウェスタンブロッティング法を用いてタンパク質発現レベルでの解析を行う。また、抗血管新生効果の詳細なメカニズムの解析として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC細胞)を用い、3次元血管新生能評価を実施する。
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