2021年度(最終年度)は、イソチオシアネート類のスルフォラファンおよびポリフェノール類のクルクミンによるPEPCK 遺伝子の転写抑制機構について解析を行った。 スルフォラファンによる PEPCK mRNA の誘導抑制は、転写阻害剤の阻害剤である actinomycin Dによって有意に阻害されたことにより、PEPCK mRNA の発現抑制が転写レベルで生じることが示唆された。そこで次に、スルフォラファンによるPEPCK 遺伝子のプロモーターを挿入したルシフェラーゼリポータープラスミドを用いて、スルフォラファンに応答する転写制御領域の解析を行った。その結果、スルフォラファンは PEPCK 遺伝子特異的にプロモーター活性を低下させることが示された。また、スルフォラファンに応答する転写調節配列は、PEPCK 遺伝子プロモーターの -467~-316 までに存在すること、さらに、その領域内のグルココルチコイド受容体の結合部位 (glucocorticoid receptor-binding sites) である GR2 と、accessory factor-binding sites (AF) である AF3 配列に存在することが示された。 2021年度の研究で、クルクミンによる PEPCK mRNA の誘導抑制が転写レベルで生じていることが示されたので、今年度はスルフォラファンと同様に、PEPCK遺伝子の転写制御領域の解析を行った。その結果、クルクミンは PEPCK 遺伝子特異的にプロモーター活性を低下させること、また、クルクミン に応答する転写調節配列は、 PEPCK 遺伝子プロモーターの -467~-316 までに存在すること、さらに クルクミンに応答する転写調節配列は、AF3 配列 に存在することが示された。
|